店舗の出店やオフィス移転等と設備資金に係るバックファイナンスの融資実務を説明します。
金融機関が設備資金と認識する資産は、下記のようなものです。
ポイントは、会計処理で消耗品費とせず貸借対照表の資産の部に計上されそうな物になります。
まずは、物件取得ですと、敷金、礼金、前払家賃、当月家賃、仲介手数料当たりです。
厳密にいいますと、前払家賃や仲介手数料は費用計上ですが、なぜか金融機関は設備資金として扱ってくれます。
内装設備や什器の範囲は、いわゆるB工事、C工事といわれるものです。
A工事は、建物の躯体なので関係ないです。
B工事は、壁の内側の給排水設備、電気設備、空調設備などです。
C工事は、壁の外側の会議室、執務室、ファザードといったところです。
あとは、資産計上されそうな30万円以上するような備品が該当していきます。
中古のプリンターなども金額が大きければ設備資金としてみてくれます。
保証協会付き債の設備資金は厳密です。
保証承諾された融資口と設備取得が、支払い履歴で紐付いてなくてはいけないです。
ですので、保証協会付き債での設備資金は金融機関で下記のような手順で支払いが必要になります。
代表的なのは、大家さんに支払う物件取得や内装業者に支払う頭金、残金等の支払いを、融資した銀行の口座から支払います。
厳密にやるところは、実行された設備融資をいつも利用している通帳に入金されずに、通知預金という別口座に入金します。
その通知預金から設備資金の支払いをしていきます。
ちなみに、先に大家さんや内装業者にお金を支払っている場合であっても運転資金で審査になります。
ですので、先に設備資金を支払ったからといって融資がおりないといったことはないです。
運転資金の資金使途としては、増加運転資金か諸経費の支払いという名目になるのでしょう。
金融機関からは、運転資金であっても、何処に、どんな設備としてお金を支払ったかのエビデンスを求められます。
ですので、保証協会付債も設備資金のバックファイナンスは可ということです。
プロパー債の場合は、上記②の保証協会付債よりも支払いについてはゆるやかです。
金融機関からは、「設備に係るお金の支払いは、当行でしてくださいね。」といわれるぐらいです。
ないしは、事業者の近くに融資をうける金融機関の支店がない場合は、支払ったことを証する領収書等を金融機関に提出しておしましです。
商工組合中央金庫は、敷金に対して質権設定をして融資実行をしてくれる珍しい金融機関です。
敷金に対する質権設定は、敷金の全額が担保としてみれないのです。
そもそも敷金は、テナントが飛んだ時の大家さんの保全手段です。
敷金への質権設定ファイナンスの注意点は、大家さんの同意が必要になります。
設備資金は、その融資の全額が設備として利用されなければなりません。
店舗出店や新しいオフィスは、見積り額で融資審査を進めていくことになります。
見積り額よりも実際の支払い額が少なかった場合は、実行された融資の内入れ弁済となります。
消費税の課税事業者で、設備投資をした事業年度は、消費税還付になることがあります。
この消費税還付は内入れ弁済の対象とはならないです。
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日本政策金融公庫や信用保証協会からの、いわゆるコロナ融資の返済据え置き期間が終わり約定弁済がスタートしています。
事業者によっては、まだ売上高が回復していないことから、再度、上記のようなコロナ融資で借り換えを進めています。
今日は、この借り換えにおいて真水融資が可能な場合と不可能な場合の線引きの目線を説明します。
金融機関のコロナ融資の審査ポイントは、コロナ禍がはじまる前の決算書における税後キャッシュを重要視します。
この税後キャッシュで、まだ据置期間中の融資の弁済を含めて、返しきれるのか、返せないのか、がポイントになります。
ただ、すべての金融機関がこのような審査をしているわけでないです。
セーフティネットを利用して、保証協会が保証承諾しており100%保証がとれているなら、とりあえず融資するという金融機関も存在します。
真水ありの場合はこのような場合です。
上記で説明しましたコロナ禍前の決算書での税後キャッシュで、まだ据置期間中の融資口も含めてすべての融資口が約定弁済がスタートしても
返済が可能な債務者には、真水融資の提案になります。
真水なしの場合は、税後キャッシュよりも年間約定額が大きい、すなわち約定弁済負けするケースです。
このような場合は、真水なしですが、返済期間を大幅に伸ばして約定弁済額を小さくするような借り換えになります。
セーフティネット保証であっても、貸し倒れが生じたときに金融機関が20%泥をかぶる保証の場合もあります。
この手の商品の場合は、返済期間も短いですし、約定弁済もつけてくれないです。
貸し倒れが生じたときに保証協会が全部の泥をかぶる保証の場合にのみ、長い据置期間をつけたらい、長い返済期間の融資になります。
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コロナウイルスによって売上が激減して手許資金が薄くなったためにリスケジュールされた会社さんが増えています。
そこで今日は、リスケ突入から脱出までの一連の流れを説明します。
リスケジュールに突入するときは、下記のことが大切になります。
ある程度の手許現金をもった状態で返済をストップすることです。
リスケに突入した場合は、原則として真水の運転資金融資がないです。
ですので、ギリギリまで返済を続けた場合は、少ない手許資金で事業をすることになります。
できれば、月商1ヵ月ほどの手許資金を残しておきたいところです。
リスケジュール突入時までに黒字状態にしておかないとジリ貧でそのまま資金ショートしてしまいます。
リスケすると融資事務手数料が発生します。
これはリスケ時、内入弁済時、ロール時に発生します。
融資口が多いほど手数料が多くなります。
ですので、リスケ前に複数の融資口を一本化することをオススメします。
同じ責任共有割合の信用保証協会付き融資
全ての融資口が借り換えで一本化できるわけでないです。
下記のような融資口は、一本化できないです。
①市区町村の制度融資
②オリックス、オリコといった民間企業が保証をしている融資
③異なる責任共有割合の信用保証協会付き融資
リスケに突入した後は、各金融機関とリスケの交渉をする必要があります。
リスケに突入したら債権者平等の原則により、内入弁済された資金は融資口の残高に応じて弁済がなされていきます。
ですので、融資残高の少ない金融機関の融資は完済しておいた方が後々の業務量を圧縮することができます。
リスケ突入時には、金融機関から下記の資料の提出を求められます。
①事業計画書
②資金繰り表
③試算表
④借入残高一覧表
⑤部門別PL
リスケ交渉は、信用保証協会と日本政策金融公庫だけだと楽です。
ポイントは、内入弁済を0円にすることです。
内入弁済額を大きくしてしまうとジリ貧で資金ショートしてしまうからです。
リスケは通常1年間の返済猶予が多いです。
1年後に、ほとんどの事業者は事業計画通りに事業が回復していないです。
ですので、10万円といった少額を内入れ弁済して再度1年間のリスケを更新していきます。
リスケは、金融支援の一つです。
融資契約は、当初に約定した条件で返済がされるものです。
リスケが拒否された場合は、返済が止まりませんので返済遅延という状態になってしまいます。
リスケを拒否される等の事態に陥ったときは、再生支援協議会に相談してもいいとおもいます。
リスケの種類は大きく分けて2パターンあります。
これは今後の事業計画によって、どの方法にするか決められていきます。
これは概ね6ヶ月ほどの元本返済を0円にして、その返済が進んでいない元本を返済最終回に一括弁済する方法です。
計画通りに利益がでなかった場合は、この元本据置きが延長されます。このときに手許資金で内入れ弁済します。
これは当初の返済期間は3年だったものを5年に条件変更することによって月々の返済額を少なくする方法です。
中小企業の場合は、ほぼテールヘビーが適用されます。
リスケ中は、原則として金融機関からの真水融資をうけることはできません。
ですが、例外があります。
コーポレートの与信を全く無視して、提供された不動産や有価証券といった担保に与信をはるやり方です。
信用金庫や信用組合さんは、前向きに検討してくれます。
不動産担保ローン専門のノンバンクも前向きに検討してくれます。
土地の価格上昇等により担保余力が増加することがあります。
このような場合ですと、追加融資は期待できます。
月末に資金ショートするけど、翌月10日に入金があるような場合は短期のつなぎ資金を検討してくれます。
このような金融サービスは、信用金庫や信用組合が積極的にしてくれるようです。
リスケからの脱出方法は、リスケ債を正常債に借り換えることによって行います。
正常債への借り換えによってリスケ債を完済します。
ここで重要なのは、租税や社会保険料の滞納がないことです。
これらの滞納がある限りは、正常債への借り換えができないです。
このことは事業者さんは、知らない方が多いです。
では、この借換えまでのプロセスはどうなっているのでしょうか。
いきなり正常債に借換えということはないです。
保証協会付き融資もプロパー融資も毎月の少額の元本返済をします。
概ね6月位の返済実績ができたときに、リスケ債を正常債に借り換えるかどうかになります。
保証協会も金融機関も一度返済を進めて再度リスケされるのが一番いやとのことです。
信用保証協会付きの銀行融資は、あまりにも元本の返済がないと保証協会に代位弁済を求めることができます。
そうなりますと、債権者は銀行から信用保証協会になります。
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