- 2022.03.25 東京都葛飾区の制度融資(コロナ、金利0%、保証料0円)は、2022年9月30日まで延長されました。
税理士塩見健二著
当座の枠張りは、アンコミ、当座貸越(英語:bank overdrafts)といろんな言い方があります。
アンコミとは、アンコミットメントラインの略です。
当座貸越は、日本語です。
ここでは、以下アンコミという言い方で統一します。
アンコミは、金融機関が会社の財務内容などを勘案して3,000万円、5,000万円と一定の極度枠を作ります。
アンコミは、金融機関に決算書が提出された段階で与信審査をあらかじめしておきます。
その後に債務者がお金を必要とするときに、金融機関は、軽い審査で融資審査だけをして融資実行になります。
極度枠の使い方としては、季節要因で売上が一時的に下がって手許資金が薄くなるタイミングでワンタッチというような使い方です。
ですので経常的でベタッと融資が寝るような使い方に馴染まないといえます。
銀行の当座貸越は、一定以上の財務内容や担保といった信用が必要です。
この信用が銀行の基準を満たさない会社であっても信用保証協会の保証に枠を設定できます。
いわゆる根保証というサービスです。
当座貸越は常にお金が必要でない会社で利用します。
産業でいいますと、売上の増減に季節性がある商売です。
銀行員は、短期の運転資金融資のことをタンコロと呼称したりします。
例えば、ウェディング事業ですと3月~5月は売上が伸びますが、8月がまったくダメです。
8月に売上がないために現金は、急激に減少します。
この一瞬だけの手許資金を増やしたい目的で当座貸越を利用します。
建築業者は建築現場ごと、不動産業者は、商品不動産の仕入ごとに融資を組みます。
銀行員は、プロジェクト資金と呼称します。
プロジェクトごとに融資をします。
あまりにも建築現場が多い場合や商品不動産が多い場合は、当座の極度枠を設定してその範囲で運転資金として融資します。
長期の融資は、利息の支払いが固定費となります。
なるべく、短期の要資事情が出現したときにだけ資金調達をしようと考える会社もあります。
このような意味で利払いを圧縮して利益を残したい会社が利用します。
そもそも会社に多額の手許資金がある会社にあるパターンです。
この手の会社が当座貸越で融資を利用するのは、金融機関との付き合いに限ります。
よくあるのは、金融機関の中間決算(9月)と本決算(3月)のタイミングで短期融資をうけるパターンです。
更改は、民法513条に規定されています。
この民法513条とは、既存の債権の要素を変更する契約を締結することにより、当該債権が消滅すると同時に、これに代わる新しい債権が成立すること。とされています。
要するに、金融機関の融資するという義務は、更改によって融資額が増減するということです。
アンコミの更改は、決算などのタイミングでアンコミの極度枠を増減させます。
業績がよければ問題ないですが、赤字になったりBSが重たくなったり、純資産が薄くなると極度枠を減額される恐れがあります。
当座貸越の審査は、厳しいです。
下記が目線となります。
①純資産価額が大きい
②直近の決算書が黒字
③5年以上の業歴
④不動産等の担保を差し入れている
⑤定期預金等で預金担保を設定している
アンコミは、融資の極度枠をはるだけであって融資を絶対にするという約束を金融機関と締結していないです。
ということは、資金繰りにアンコミの枠を当てにしているとベタ貸しという痛い目にあうことが考えられます。
逆に、絶対に極度枠の範囲で融資するという金融手法もあります。
これはコミットメントラインというものです。
あとアンコミは、月々の約定弁済がなないため借金漬けになりやすいです。
借金の返済に追われている会社の場合は、本来の使い方を逸脱して枠目一杯借りています。
計画的な利用が求められます。
最後に、資金使途を厳格にする金融機関の場合は、アンコミでの融資を割賦付に切り替えて欲しい、一旦完済して欲しいといってきます。
その理由は、過剰債務の会社でアンコミの枠をはっている会社だと必ずといっていいほど極度枠までパンパンに借りられているからです。
当座貸越契約へ貼る印紙は、200円となっています。
国税庁のホームページでは、極度貸付契約証書で紹介されています。
資金繰り等の財務、税務、会計をオールインワンで解決!
MBO/LBOスキームを実行する場合の実務上の目線について説明します。
今回は、親族や知人に株式が分散し、それを事業会社に買わせる手法を前提に説明します。
まず、最初にすべきことは株価算定と金融債権者へのスキームのご説明になります。
親族や知人が株式を販売してくれなかったら話が進まないです。
金融債権者の支援スタンスを聞いておかないと面倒なことになります。
ですので、株価を算定して、いくらぐらいで売ってくれそうという目線をつけます。
重要なのは、株価算定の基準日を決めておくことです。
決算日が多いです。
次に金融機関への株の買取資金の融資打診をしていきます。
以外ですが、日本政策金融公庫や商工中金といった政府系金融機関の職員の方は手馴れています。
民間金融機関は、やったことがないという職員がおおいです。
融資審査は2か月位で終わります。
ポイントは、LBO資金に3ヵ月位の元本据置期間をつけておくことです。
SPCは、売上がないため返済能力はないからです。
利息の支払いや株の決済の送金手数料をSPCの口座にいれておいた方がいいです。
審査の途中で株の買い上げるSPCを組成します。
SPCの組成と通帳作成で、おおよそ1ヵ月みておけば大丈夫です。
いざ、株の決済が終わりました。
次は、SPCと事業会社の合併です。
合併は、債権者保護手続きが1月必要になります。
債権者保護手続きは、官報への公告と金融債権者への個別催告になります。
債権者からの異議申し立てがなければ、合併登記になります。
だいたい、キックオフから合併まで6ヵ月位でおわります。
MBO/LBOスキームは、SPCと事業会社を合併させることによって株の買取資金を事業会社に返済させることになります。
そこで懸念されることは2つあります。
事業会社の借金弁済額が増大することにより資金繰りが悪化します。
そして、株の買取資金は、自己株式の取得と似た効果になりますので純資産価額が悪化します。
この純資産価額が債務超過になるようでしたら金融機関からの支援はないと思った方がいいです。
金融機関は、債務超過=返済に問題がある先と一義的にみてしまうものです。
なれていない会計事務所にありがちなミスがあります。
SPCは、基本的に債務超過になる可能性があります。
買収資金にかかる利子で赤字になるからです。
このとき赤字の会社を買収しているため、その他資本剰余金が▲になっていることがあります。
資本剰余金は▲になっていたら利益剰余金を振り返えして資本剰余金を0にする必要があります。
この記事は、2364文字です。
リファイナンスとは、当初に約定した貸出条件を見直しや借り換えをすることをいいます。
不動産業者の商品不動産の仕入資金の場合は、返済期間の延長が多いです。
商品不動産に関するプロジェクトが事業計画通りに、加工、販売できずに在庫不動産が売却できず、融資が返済できなかったことをいいます。
このような理由で完済できないときにリファイナンスを考える必要があります。
リファイナンスの手法は、下記のとおりです。
1つ目は、当初貸出をした銀行、ノンバンクがリファイナンスに応じる場合
2つ目は、当初貸出をした銀行、ノンバンクがリファイナンスに応じず返済をせまる場合
3つ目は、債務者が支配する別の会社に不動産の所有権を移して、そちらでリファイナンスする場合
銀行、ノンバンクがリファイナンスに応じるか、応じないかは、下記のマトリックスチャートが目線となります。
銀行は、基本的にリファイナンスをあきらめた方がいいといえます。
信用金庫は、ケースバイケースです。
信用組合は、何度かのリファイナンスだと応じてくれます。
日本政策金融公庫は、そもそも長期目的の不動産取得にしか融資しないです。
ノンバンクは、リファイナンスOKです。
1つ目は、当初貸出をした銀行でリファイナンスに応じる場合です。
銀行は、当初の事業計画通りに不動産を売り切れなかった場合ですと、ほぼリファイナンスに応じないです。
ただ、下記のような場合は、リファイナンスに応じます。
1つ目は、すでに不動産の売却先と売買契約を締結しており販売の決済時期までに不動産が販売できなかった場合です。
2つ目は、リフォームに関する部品の調達が遅れているため販売活動がまともにできなかった場合です。
要するに、販売しきれなかったことに正当な理由がある場合です。
このときのリファイナンスに関する融資条件は、金利が0.5%UP、返済期間を6ヵ月延長といった内容になっていきます。
2つ目は、銀行間の肩代わり(※信用金庫や信用組合も含む)です。
これは銀行から銀行への肩代わりです。
当初のプロジェクト通りに事が進んでいないプロジェクトであったとしても、肩代わりしてもいいという銀行も存在します。
立退きが必要なプロジェクトは、往々にして立退料の合意でプロジェクトが進まない場合が多いです。
肩代わりする銀行は、この事業者の財務内容なら回収できる、どうしても融資残高を伸ばしたい等の理由があれば肩代わり資金の資金調達が可能になります。
金融機関の融資の世界は、支店長次第で大きく融資スタンスが変わります。
ですので、数あたっていい支店を見つけるのがいいです。
この肩代わりの注意点は3つあります。
1つ目は、当初融資した銀行の融資事務手数料です。回収する銀行の融資事務手数料は返金されないです。
2つ目は、肩代わりしますと不動産の抵当権の抹消、設定に関する登録免許税が課されます。
3つ目は、リファイナンスも考えると金利が安かったとしても銀行から不動産の仕入れ資金を借りないことです。
信用金庫、信用組合は、商品不動産がリファイナンスになるときに約定通りに弁済をせまることが少ないです。
ただ、リファイナンスが3回、4回と続くようでしたら話がかわってきます。
特に注意しないといけないのは、リファイナンスが何度も続くような場合だと出入り禁止になる場合があります。
要するに、信用金庫や信用組合から、不動産の仕入れの目利きができていない、エンドユーザーにとって買いたいと思うリフォームができていない、と思われるからです。
あとは、ノンバンク等に融資を肩代わりしてもらったあとも、不動産の登記簿謄本をあげていつに販売できたのかチェックされます。
金融の世界のリファイナンスは、基本的に金利が高い方へのリファイナンスがないです。
リファイナンスの候補は、金利の高い金融サービス業者となります。
ノンバンクは、融資の本質に関係なく不動産という担保があって自社の融資の保全が図れているならば融資をするというスタンスです。
ただ、注意しないといけないのはノンバンクは、コーポレートのクレジットを銀行のようにみないです。
ですので、リファイナンスをする不動産の仕入価額と融資額が大幅に乖離する可能性が多いにあります。
特に区分マンションは土地評価が全く伸びないです。
そのため自己資金の負担が銀行融資よりも重くなる傾向にあります。
銀行や信用金庫、信用組合からノンバンクにリファイナンスするときは、持ち出しが発生するということです。
ノンバンクの融資条件は、銀行、信用金庫、信用組合より悪いです。
一例は下記のとおりです。
融資事務手数料が1.5%前後
金利が3.5%~15%
繰上弁済事務手数料1.5%前後
ノンバンクであっても、あまりにもリファイナンスをするようでしたら他社への借り換えを提案されます。
このときの借り換えの提案先は、ノンバンク間で業務提携を締結している先になります。
このときの特徴は、どんどんと金利の高いノンバンクへの借り換えとなっていく点です。
最終的には、金利15%のノンバンクとなってしまいます。
それと同時に追加担保も求められます。
よくあるのが、代表者や代表者親族の自宅への2番抵当権の設定です。
業務提携ノンバンク間の借り換えですと転抵当権が利用できる可能性があります。
転抵当権というのは、抵当権を抹消して、再度設定するのでなく抵当権をノンバンク間で譲渡するという手法になります。
ですので、抵当権設定に伴う登録免許税が課されずに済みます。
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