後継者がいない会社は、M&Aの対象になることがあります。
とくに今はコロナ禍ですので、事業をして赤字になるぐらいなら会社を売ってリタイヤしようという会社の売主も多いようにみえます。
今日は、このM&Aでその買収対象会社が売上除外や架空経費といった行為をしており税務リスクがある場合の実務上の注意点をかきます。
脱税行為の発覚と行政ペナルティ
脱税行為は、その度合いによって行政ペナルティはかわってきます。
単純な経理ミスや解釈の違いといった故意に過少に申告納税している場合は、過少申告加算税や延滞税といった税目による行政ペナルティです。
経理ミスや解釈の違いでなく、売上除外や架空の領収書で不当に申告納税している場合は、重加算税といった税目が上記にプラスされていきます。
重加算税の実務は、一度、重加算税が課税されると定期的な税務調査対象になります。
それは代表者単位でなく法人単位で履歴が残ります。
一から会社をやり直す場合は、重加算税の履歴がなくなるということです。
脱税行為をしている会社を買うことを検討するときのM&Aスキームの検討
M&Aをするときは、大きくわけて2つのスキームが検討できます。
1つ目は、事業譲渡という事業の中身だけを売買するパターンです。
このパターンは、税務リスクがある会社の資産を買うだけですので特段に税務リスクの引継ぎといった問題は生じないです。
ですが、事業譲渡ですと賃貸不動産が昔からの契約で現況賃料より割安で借りていたとしても契約の巻きなおして相場賃料に巻きなおす可能性もあります。
そうなりますと事業自体の利益額が縮小してしまうことから買主はその事業を買うメリットが薄れてしまいます。
2つ目は、株式譲渡という会社単位で売買するパターンです。
これは会社を丸ごと引き継ぐため税務リスクも売主が被ることになります。
ですので、株の売買単価の値引き交渉や売買にあたって修正申告して税務リスクを無くすことが重要になってきます。
売主にとっては譲渡所得20%で課税関係が終了し、法人の清算といった行為も不要です。
なので売主は株で会社を売りたがるものです。