不動産のプロジェクトファイナンスの融資事務手数料(※アップフロントともいいます。)の実務について説明します。
金融機関の融資事務手数料の対応
金融機関の場合は、融資事務手数料のレンジが0.300%~1.000%+税が多いように思えます。
金融機関の融資事務手数料の対応は、①請求する、➁請求しない、③お客さんによってとる、とらないを分けるの3パターンです。
ここで議論となるのは、金融機関の融資事務手数料の対応で、債務者によってとる、とらないと分かれる点です。
明確な基準は、あるのでしょうか。
それとも、とれるところからは、とっておけなのでしょうか。
融資事務手数料は、金利でないため金銭消費貸借契約を締結したときに一括で支払います。
すなわち、手許資金の持出しにもなり運転資金が減少します。
あと、早く融資を完済してしまうと全体的な金融コストが上昇にもつながります。
そのことから債務者にとっては、不利な費目となります。
出来る限り、融資事務手数料をつけたくないところです。
金融機関は、不動産の買取から転売までのサイクルが短期間である債務者に融資事務手数料を融資条件に付ける傾向にあります。
このサイクル(※融資実行期間)は、在庫一覧表や過去の融資取引実績をみて判断します。
概ね3ヶ月以上の融資実行期間がないと融資事務手数料を、債務者に求められるように思えます。
金融機関は、融資実行までの物件調査や稟議等のコストが、賄えない可能性があるからだと思います。
余談ですが、開発型のプロジェクトの場合は、融資事務手数料が発生する場合がおおいです。
ノンバンクの融資事務手数料の対応
ノンバンクは、ほとんどの場合に融資事務手数料を融資条件に必ず付します。
融資事務手数料を付さないのは、金利15%の融資条件を売りにしているノンバンクぐらいです。
ノンバンクの融資事務手数料のレンジは、1.000%~2.000%+税です。
解約事務手数料の対応
金融機関もノンバンクにもあるのが解約事務手数料です。
この解約事務手数料は、下記のような条件で付されます。
融資実行期間が何か月未満の場合に発生します。
融資事務手数料が不要ですが解約事務手数料は発生します。
他社への借り換えをする場合に解約事務手数料が発生します※自己資金で返済してもらった場合は不要です。
解約事務手数料のレンジは、1.000%~2.000%+税が多いように思えます。
会計処理の裏技
融資事務手数料を支払ったときの会計処理は2つかんがえられます。
1つ目は、融資事務に対する費用だから、すでにサービスが終わっているので費用処理とする。
2つ目は、融資事務に対する費用だけど、紐づけの売上が計上されるまで資産処理する。
多くの税理士は、支払い時に費用処理します。
こうなりますと赤字が先行してしまい決算が赤字になり、来期以降の融資に影響があります。
ですので、決算着地も考慮して会計処理してくれる先生をオススメします。