収益目的不動産における屋上防水、給排水設備、外壁塗装、エレベーターの取替といった大規模修繕に係るローン付けの実務を説明します。
収益目的の不動産に限定している理由は、事業目的や居住目的では取扱いがかわってくるからです。
プロパー融資の可能性
無担保無保証のいわゆるプロパー融資は、収益不動産の場合だと基本的に考えられないです。
その理由として、通常の収益不動産に対する融資の保全は根抵当権が設定されています。
根抵当権というのは、〇〇億円の枠の範囲で何度融資しても、その範囲は保全がとれるという権利です。
収益不動産向け融資の返済方法は、毎月の割賦弁済です。
ですので、時の経過に伴って融資残高減る=融資枠が空いてくるという構造になっています。
保証付き融資の種類
保証協会付き融資を利用するのは2つのパターンが考えられます。
一つ目は、金融機関が保証協会の枠を使いたいからです。
大規模修繕は設備資金という資金使途がつくため信用保証協会の保証審査も通りやすいものです。
二つ目は、根抵当権の極度枠上限まで借りている場合です。
融資につける保証は、信用保証協会だけでなく民間の保証会社も審査可能になります。
不動産担保の種類
不動産担保の種類は、上述①で説明したような収益不動産の根抵当権以外にも方法があります。
実務では、二番抵当、極度枠の増額、共同担保、別担保がよく使われます。
二番抵当は、一番抵当が銀行等の抵当権で二番抵当が諸経費や修繕費といった資金使途でノンバンクが融資実行というものです。
社会問題となったフラット35をつかった民泊は、このパターンでローンが組まれているものが多いイメージでした。
極度枠の増額は、市場価格が値上がりによって担保枠があるときに同じ順位の抵当権を利用するときに利用していきます。
共同担保は、ノンバンクがよく利用します。
担保割れ部分を他の不動産の枠が余っている不動産を担保設定するものです。
別担保は、収益不動産のオーナーの自宅の後順位担保を設定するものです。
こちらも値上がりしている自宅がある場合に金融機関から提案されます。