コロナウイルスの蔓延による企業の赤字補填という資金繰り支援のためにセーフティネット保証が話題にあがっています。
今日は、このセーフティネット保証に関連して信用保証協会の保証商品の基本的な考え方を説明します。
一般保証と特別保証
保証協会の保証は、一般的に上限2.8億円といわれています。
その内訳は、有担保とよばれる普通保証2億円と無担保とよばれる無担保保証0.8億円となります。
事業者がよく利用しているのは、一般保証の無担保保証8000万円の方となります。
有担保の利用方法は、数年間赤字続きの事業者で保証協会が無担保保証を嫌がった場合とか、不動産の買取再販売目的、事業利用目的、投資目的に利用されます。
今回は、話がややこしくなるので以下は、無担保保証のみで説明します。
今回のようなコロナウイルスの蔓延等による緊急措置として別枠が利用可能となります。
この別枠の内容を説明していきます。
特別保証制度の内容は、下記の5つからなっています。
一つ目は、経営安定関連8000万円。これが、いわゆるセーフティ保証というものです。1号~6号まであります。今ですと、セーフティ4号認定や5号認定といったものです。
二つ目は、危機関連保証8000万円。コロナウイルスの蔓延は、危機関連として認定されました。上記の経営安定関連と併用可能です。ですので、別枠の別枠と言われています。
三つ目は、創業関連2000万円。これは創業前及び創業5年迄使える保証です。自己資金300万円あれば1000万円借りられるとよく言われますが、それはこの枠を使っています。注意しないといけないのは、この創業関連は、別枠といっても一般枠8000万円と同一視するということです。
四つ目は、創業等関連1500万円。これは創業関連2000万円と似ています。この別枠は、創業関連2000万円で収まらなかった保証のための枠です。使う機会は、相当な自己資金をもっているとか、事業が当たって急成長しているときに、この創業関連で枠を使い切っているからこの枠を使ったとかが考えられます。
五つ目は、経営革新関連保証8000万円。これは知事等の承認を受けた計画に従って新商品の開発又は清算、新サービスの開発や提供を行うときに使えます。手続きが面倒で金融機関も嫌がります。
仮に、創業5年以内であり業績が非常にいい会社だと、今回のコロナウイルスによって急速に手許資金が減った場合は、一般枠8000万円(※創業関連2000万円、創業等関連1500万円を含む)に、経営安定関連8000万円、危機関連保証8000万円、の計2.4億円が保証限度額となります。
注意しないといけないのは、保証限度額2.4億円が全ての事業者に適用されるのでないです。
事業規模の小さな事業者や財務内容が相当傷んでいる事業者は、減額されていきます。
保証割合
保証割合とは、債権がデフォルトしたときに貸出先の金融機関が保証協会に代位弁済を求めることができる割合をいいます。
一般保証の場合は、原則としてデフォルトした債権額の80%が保証協会の代位弁済の範囲となっています。
一般枠の例外として、この保証割合には100%保証というものも存在します。
それは中小企業法に規定する中小企業者への貸出債権は100%保証となっております。
この中小企業者は、従業員数できまります。
製造業20人以下、卸売業5人以下、サービス業5人以下、小売業5人以下となります。
従業員数の定義は、常時使用する従業員の数という言葉になっております。
これは、労働基準法第20条に規定する「予め解雇の予告を必要とする者」を従業員と解しています。
要するに、解雇するときに30日分の解雇手当を支払う労働契約の人です。いわゆる正社員の数です。パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員、出向者は含みません。
この従業員の数は、事業者にとっても金融機関にとっても重要な数となってきます。
事業者にとってのメリット、デメリットは次のとおりです。
メリットは、保証割合100%なので金融機関のリスクがないため保証協会の保証審査さえ通れば融資実行となります。金融機関からの融資NGというリスクがなくなります。
デメリットは、保証協会の保証枠を20%分くってしまいます。ですので、融資希望額の満額がなされないという事態も生じます。
金融機関としては、なるべく保証協会にリスクを押し付けて貸出残高を伸ばしたいものです。
ですので、金融機関の担当者は、やたらと従業員数をヒアリングしてきたり、事業概況書の裏面を欲しいといってきます。
特別枠は、100%の保証割合となります。
ここで注意しないといけないのは、上記の創業関連2000万円、創業等関連1500万円の取り扱いです。
この2つの特別枠は、特別枠であり100%保証ですが一般枠と同一視で保証審査をしていきます。
従業員数が50人である創業5年以内の会社ですと創業関連2000万円や創業等関連1500蔓延も使えることになります。
協会制度と制度融資
保証協会の保証は、大きくわけて3つあります。
1つ目は、保証協会のプロパーの保証です。
2つ目は、都道府県の制度融資です。
3つ目は、市区町村の制度融資です。
大別すると、保証協会のプロパーの保証と都道府県や市区町村の制度融資となります。
これらの特徴は次のとおりです。
保証協会のプロパーの保証は、大口の保証もOK。融資申込から着金まで短期。
都道府県や市区町村の制度融資は、小口の保証が多い、保証協会の保証を都道府県や市区町村が再保証するので保証協会の保証審査が通りやすい、保証料の割引等のオプション付き、据置き期間が長い、固定利率が多い。
都道府県や市区町村の制度融資が、100%保証なのか80%保証なのかは、各自治体に問い合わせをしないと不明です。
細かな諸条件の違いもあるので、どの制度が合致するかも各自治体のホームページを参考しないと不明となります。