税理士塩見健二著
リースを活用して運転資金の調達ができるカラクリ
リースを活用して運転資金を調達するスキームは、一般的に2パターンあります。
1つ目は、手許資金で購入した自動車や設備を、あとあとにリース取引にひきなおすバックファイナンス的なやり方です。
2つ目は、自動車や設備、自宅を金融機関からの設備資金で融資付けしたあとに、リース取引をするやり方です。
動産担保ローンみたいなやり方です。
注意しないといけないのは、金融機関の設備資金をリース取引に引き直しているので設備資金の一括弁済を求められる可能性があります。
このような一旦、自社の持ち物をリース会社に販売して利用し続ける取引をセール&リースバック取引といいます。
リースバック取引の検討局面
金融機関からの保証協会付き融資の枠を使い切った等で追加の真水融資が困難なときにリースバック取引が検討されます。
手許資金が欲しいがために自己所有の自動車や設備、自宅といった固定資産を売却して手許資金を増やします。
この場合に注意しないといけないのは、自動車です。
自動車は、色、型、グレードで人気、不人気で中古市場の価格が大きく変動します。
特に外国製自動車は、その傾向が強いです。
リース会社は、価格変動が大きい車両をリースバック取引の対象としない可能性があります。
リースバックの対象資産
リースバック取引に係る対象資産は、限定されています。
最近ですと新品から6ヶ月や1年以内のものしかリースバックの対象としないリース会社が多いです。
リース会社にも、この商品だとリースできるか、これだとリースできないといったこともでてきます。
自動車のリースバックですと外国車は困難です。
理由は、簡単でして外国車の場合は中古車市場での売却価格にブレがでてしまいます。
ですが、債務者の財務内容がよければ中古の外国車であっても審査は通るものです。
多重リース
多重リースは、一つのリース物件に対して数社のリース会社にリース取引を持ちかける詐欺行為です。
多重リースの他のいい方としては、二重リースや空リースも同意義です。
多重リースを防止するために自動車の場合は、所有権をリース会社に移したりします。
ですが、レジ、パソコン、冷蔵庫等の小さなリース物件については特段処理がないです。
リース料の滞納
リース会社にリスケジュール(返済条件の緩和)を求めても合意することはあまりないです。
リース料の滞納があった場合は、リース物件がリース会社にもっていかれます。
リースの会計、税務処理
リース取引は、原則としてリース資産、リース債務としてオンバランス処理をしないといけないです。
この場合の処理は、リース資産をリース期間で減価償却し、リース料の支払いをリース債務の弁済として処理します。
リース取引が300万円未満である場合については、リース料の支払い時にリース料として費用処理が可能となっています。
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