税理士塩見健二著
梯子外し
これはよくあるパターンです。
特に不動産業者で頻出します。
梯子外しを細分化すると2パターンです。
1つ目は、同じ資金使途の融資を黙って複数行に持ち込む場合です。
金融機関からOKがでている状態で、金銭消費貸借契約を結ぶ手前で融資をキャンセルした場合は、一発出入り禁止がありえます。
これは不動産業者の不動産の仕入れ資金で黙って複数の金融機関に融資審査をお願いしているパターン等です。
2つ目は、事業者の一方的な理由で融資審査をキャンセルした場合です。
これを3回してしまうと出入り禁止になる可能性が高いです。
不動産業者ですと三為取引が破綻したときの保険で金融機関に融資審査をお願いするパターン等です。
解決策としては、当たり前ですが事前に銀行に告知しておくことです。
資金使途違反
いろんなパターンが考えられます。
諸経費の支払いという名目で運転資金融資の審査を通しているにも関わらず大きな設備投資資金として利用した。
設備資金名目で融資審査を通しているが、その設備の領収書等を金融機関に提出しない。
不動産を購入するときに、長期で保有することを目的として融資審査を通したにも関わらず短期で売却した。
その他は、運転資金を社長個人が競馬、FX等のギャンブルに使い込んでしまった場合もあてはまります。
これは社長への転貸資金とみなされます。
解決策ですが、使い込んでしまったお金を返済方法を銀行に説明することになります。
二重売買契約とその発覚
最近、メディアでも社会問題として取り上げられている不動産の二重売買契約です。
これは、金融機関で評価が伸びやすい土地広めの不動産でなされる場合が多いです。
金融機関の担保評価は、どうしても土地の大きな不動産に担保価値があると見出してしまいます。
二重売買契約が発覚パターンは3例があります。
1つ目は、不動産業者がエンドユーザーに対するキックバックを、融資実行をした金融機関の口座を利用する場合です。
明らかに不自然な資金の流れが銀行の口座を通じて金融機関が知ってしまうパターンです。
2つ目は、宅地建物取引業法は不動産の取引台帳の保管を義務付けています。
これを決算書と一緒に不動産の取引台帳を銀行に提出することがあります。
その不動産取引台帳の不動産取引価額と融資実行額が、異なっているパターンです。
3つ目は、不動産の買手のエンドユーザ―の決算書において、不動産の帳簿価額と融資額の比率がおかしい場合です。
通常のエンドユーザー向けの不動産融資は、一部自己資金がはいっています。
ですので、不動産の帳簿価額>銀行融資額になるはずです。
ですが、決算書上の不動産価額=融資額がほぼ同じ金額である場合です。
このときに出入り禁止になるメンバーは、売主、買主、不動産仲介業者、不動産のコンサルティング業者とひとくくりでアウトにするようです。
解決策は、二重売買契約になりますと関与した全員が出入り禁止になる可能性が非常に高いです。
ですので、そもそも二重売買契約に関与しない、ないしは、関与していなかったことを銀行に説明する必要があります。
リファイナンス
不動産業者に多いです。
買取再販売といったプロジェクトファイナンスの融資期間は、通常12ヶ月です。
この期間内に売り枯れなかった商品不動産は不良在庫、プロジェクトミスと銀行に判断されて融資金の一括弁済を求められます。
返済原資はノンバンクからの融資金となります。
この期限一括弁済が頻出する不動産業には銀行をフラッグをたてます。
金融機関は債権の回収ができたあとに追跡調査を行います。
そのプロジェクトが、いつに売却できたかを謄本を取り寄せてチェックします。
これらの結果を踏まえて、この業者は実力がないと判断すれば銀行は融資撤退をします。
解決先は、リファイナンスに応じないような銀行と取引しないことです。
審査が緩い銀行もあります。
踏み倒し経験あり
これは過去に私的整理や法的整理、踏み倒したままブラックリストにのっている人が実質的にその会社を支配している会社によくあります。
実質的にというのは、取締役、監査役として登記していないことをいいます。
そうする理由は、名前をだしてしますと銀行の与信審査でヒットしてしまからです。
金融事故をおこしている人の肩書は、〇〇部長、〇〇責任者、〇〇専務といったところが多いです。
この踏み倒した人の存在が何らかの理由によって金融機関に知られてしまい取引禁止となる場合です。
解決策は、失敗して金融事故を起こしている人を幹部として向かい入れないことが大切です。
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