税理士塩見健二著
連結子会社と完全子会社の違い
連結子会社とは、親会社の連結決算に組み込まれる子会社のことです。
子会社とは、会社法において、議決権の過半数を占める会社と定義されています。
完全子会社とは、親会社が子会社の議決権を100%保有される子会社のことです。
この考え方は法人税法でよくでてきます。
この考え方は、孫会社、ひ孫会社でも同じです。
連結子会社の金融上のメリット
連結子会社であることのメリットの一つに金融機関からの与信判断があります。
親会社の与信内容がいい場合は、連結子会社にもプラスに評価されます。
連結子会社の金融上のデメリット
連結子会社であることのデメリットの一つは、融資の申込から着金までの時間です。
単体法人の融資審査期間にプラス1週間位多くかかることがあります。
連帯保証人
連帯保証人の存在は、現在の日本の銀行融資においてマストになっています。
一部の金融機関は、原則として連帯保証人を求めないファイナンスを提供しています。
あとは、業績の良い会社において金利等の諸条件が限界まできているところは代表者の連帯保証無しといった融資提案はあります。
では、連結子会社における連帯保証人はどうなっているのでしょうか。
原則としては、2名が必要となります。
1人目は、代表取締役です。
いわゆる代表者保証というものです。
2人目は、親会社です。
いわゆる法人保証です。
親会社の法人保証は、交渉によってなしにすることもできます。
融資の現場ですと親会社保証無しというのは、金融機関の与信審査の上でハードルが高いイメージです。
与信枠の考え方
与信枠で重要となってくるのが保証協会の保証枠と日本政策金融公庫の融資枠です。
はじめは、保証協会の保証枠を説明します。
信用保証協会
信用保証協会の保証枠は、株式関係や商流によって1グループの企業グループとして判定します。
一企業グループ全体で保証枠を決定しますので、通常の単体の会社と考え方が異なります。
ですので、一般的な無担保無保証の一般枠8000万円を飛び越えた保証枠の利用も可能となります。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、代表者が誰なのかで企業グループを判断します。
一企業グループの与信枠は最大4,800万円です。
ですので、親会社で目一杯の与信枠を利用している場合は、子会社での融資が利用できなくなるということです。
申込から着金
申込から着金までは、企業数が多ければ多いほどチェック数が増えますので着金が遅くなります。
ですので、余裕をもった融資計画が必要となります。
とくに初回取引は、グループ法人すべてがチェックされますので相当な時間が要することがあります。
親子間での資金のやり取り
グループ金融
融資された資金は、その会社内で利用されるものです。
ですので、子会社で借りたお金を親会社に貸し付けることは、迂回融資と同じに見えてしまうのでよろしくないです。
このような資金は、転貸資金や親子ローンといいますが、転貸する理由が明確になっていれば問題ないです。
利息の税務処理
グループ金融は下記のとおりです。
①親会社が子会社にお金を貸した
②子会社が親会社にお金を貸した
③兄弟会社間でお金の貸し借りをした
このときに、金利の処理をしておかないと税務署から認定利息を指摘されます。
M&A
子会社の株式を売却した、株式を他社から買い取って子会社化したという話は、よくきくはなしです。
このような株式のオーナーがかわるオーナーチェンジは融資の世界だとどうみていくのでしょうか。
融資する金融機関は、融資する会社が売り飛ばされる可能性があったら融資を敬遠します。
あとあとの手続きが面倒なのでしょうか。
あと重要なのは連帯保証人です。
株式をM&Aしたからといって連帯保証人の抹消や書き換えは、金融機関が応じるか不明です。
ですので、M&Aするときは、連帯保証人外しのための借換えができるのかどうかの確認が大切になってきます。
株式の売主は、連帯保証が残っていたら株式を手放さないのが普通ですので、そこで話が頓挫してしまいます。
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