店舗撤退するときの資金繰りの実務を説明します。
スケルトン戻し費用
店舗を大家さんに返還するときは、ほとんど賃貸借契約にスケルトン戻し条項が記載されていため原則としてスケルトン状態に戻して返還となります。
スケルトン戻し費用は、概ね坪15万円というイメージです。
ただ、スケルトンに戻してしまいますと大家さんも後継テナントをみつけるのに苦労します。
新しく入る後継テナントさんも出店コストは安くあげたいと考えるからです。
そこで内装造作を残置物として置いておくことも交渉としてできる可能性があります。
人事リストラ
店舗が減ってしまうため余剰人員が生まれてしまいます。
店舗撤退の実務ですと次の3パターンが多いです。
転職斡旋。
配置転換。
自然退職。
残リースがある場合
撤退する店舗の備品に残リースがある場合は、つぎの4パターンで処理となります。
1つ目は、リース物件を移動して使い続ける場合。
2つ目は、上記①で記した通り内装造作にリース物件を組み込む場合は、残リース代金の一括弁済。
3つ目は、第三者に譲渡。これは第三者の与信審査が通ればの話になります。
4つ目は、リース債務者がリース料が支払えない場合だとリース物件が持って帰られます。
銀行借入がある場合
銀行借入がある場合は、原則として店舗撤退に紐つく融資を一括弁済となります。
これは、その融資に紐つく返済原資がなくなるため融資回収とするものです。
ここで注意しないといけないのは、店舗の設備資金だけでなく運転資金も一括弁済の対象となることです。
ただ、融資が担保や保証が付されており保全がとれている、ないしはコーポレートの与信が優れて場合は返済を求められない可能性があります。
赤字補填資金の資金調達
銀行融資の場合は、赤字補填資金を嫌がります。
また信用保証協会も赤字補填資金に対する保証を嫌がります。
ですので、実態は赤字補填資金といっても諸経費の支払い等の違う資金使途で融資実行がなされるケースが多いです。
他方、事業再生ファンドの場合は、撤退資金、人事リストラ資金といった資金使途であっても審査してくれます。
差入保証金の返還
店舗撤退後に大家さんから賃貸借契約をはじめたときに支払っていた保証金が返還されます。
この保証金の返還は、退去日から数か月後に入金という場合が多いです。
スケルトン戻しは、大家さんの指定業者のため通常よりも割高です。
保証金から、この割高のスケルトン戻しの費用を差し引いた金額が返還されます。