税理士塩見健二著
店舗の撤退をしたときや赤字事業を売却したときに、その店舗や事業に紐ついているリース取引の取り扱いについて説明します。
リースとは
リースとは、日本語に直すと、借りる、という意味です。
リースの種類は、会計基準で分類すると簡単に言いますと下記のとおりです。
オペレーティングリースは、物の借り手からすると返すことが前提のリース取引です。
ファイナンスリースは、物の借り手からすると保有+資金調達ということが前提のリース取引です。
撤退、事業売却したときの原則的な取扱い
店舗撤退や事業売却により不要となったリース物件は、リース会社からリース債務の一括弁済を求められます。
これは銀行からの融資で設備投資に紐ついた融資に係る店舗や事業が撤退したときに一括弁済を求められるのと同じです。
返済原資となる利益が見込めなくなったため一括弁済を求められるというのが理由です。
リース取引の審査が通らなかったときの対応方法
法人の年商規模や債務残高、過去に返済履歴によっては、リース審査が通らないことがあります。
もしかしたら、リース額を小さくした場合はリース審査が通る可能性があります。
こんなときに協調リースを検討していくことになります。
リース取引が地位承継される場合
原則は、リース債務者にリース債務の一括弁済を求められます。
交渉次第で新たに店舗や赤字事業を購入された事業者にリース債務の名義変更ができます。
そのやり方は、新たにリース債務者となろうとする事業者がリース会社に審査を申込します。
その審査が通ったらリース債務の地位承継ができます。
連帯保証人の解除と変更
リース債務者が入れ替わるときは、連帯保証人も加除できます
連帯保証人の加除とは、連帯保証人を加えたり、除いたりすることです。
連帯保証人が外れない場合
リース取引の地位承継をする事業者が下記に該当する場合は、連帯保証人の追加だけになります。
①財務内容が悪かった場合
②地位承継に関して粉飾決算等が疑われる場合
旧リース債務者の連帯保証が残った状態で、新リース債務者がデフォルトを起こすと全ての連帯保証人に請求がいきます。
この場合は、連帯保証ですので、分別の利益がありません。
リースバック取引
地位譲渡において旧債務者の連帯保証が外れない場合は、自己資金でリース債務を繰上弁済(中途解約)も一手です。
新債務者は、リースバック取引でリース債務を作って、その資金を旧債務者に渡しても大丈夫です。
新債務者は新たにリース取引の審査がはいるため決済日の1月前には申込をすませた方が無難といえます。
カーリース取引
中古自動車のカーリースは、一旦自己資金で所有権をこちらに移転させてからリースバックすることがあります。
事前に、どのタイミングでリースが組めるのかをリース会社に確認しておいた方が資金難に陥らなくてすみます。
リースバック取引の会計、税務処理
リース取引は、原則としてリース資産、リース債務としてオンバランスしないといけないです。
リース資産は、リース物件です。
リース債務は、リース料の総支払額です。
例外処理として、リース額300万円未満の場合は、リース料の支払い時にリース料として費用処理ができます。
そのためオンバランス処理が不要になります。
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