相続対策として、よく用いられる手法である疑似DESの実務を説明します。
疑似DESをなぜするのか
DESとは、dept eqity swapの略で日本語に訳すと負債の資本化です。
要するに、借金を資本金に変えるということです。
相続対策で考えるのは、被相続人の財産に対して相続税が課税されます。
被相続人が一人株主の一人社長である場合は、被相続人のお金は、会社に資本金か役員借入金として処理されています。
この資本金と役員借入金の相続税の計算はつぎのようになります。
資本金は、財産評価基本通達における株価算定式に基づいて評価される。
株価ですので、会社の状況によって出資額以下の評価にもなります。
役員借入金は、財産評価基本通達における債権として評価される。
弁済が可能な債権として評価するので、債権額で評価されます。
基本的に、債権額よりも株価の方が評価額安くなる傾向にあるため疑似DESを検討します。
疑似DESの方法
疑似DESは、主に2つの方法があります。
それは役員への返済原資で分けられます。
一つ目は、会社の手許資金で役員に一旦、返済して、その後に、再度役員が増資する方法です。
二つ目は、会社の手許資金を利用せずに金融機関から役員の借入金の肩代わり資金を融資してもらい、そのお金を、役員に返済して、その後、再度役員が増資する方法です。
このやり方は、金融機関の返済原資が課題となります。
どうやって返済していくのかが明確にならないと融資実行が難しくなります。
疑似DESによる税務上の効果
疑似DESの税務上の効果は主に3つあります。
一つ目は、資本金の額の増加に伴い登記するときの登録免許税が課税されます。
増資額の全額を資本金とせず資本準備金とした場合は、資本準備金部分に登録免許税が課されないです。
二つ目は、地方税の均等割が増税になる可能性があります。
均等割の一つのバーが資本金1000万円になります。
この均等割の判定基準日は、事業年度の末日となります。
三つ目は、株価算定です。
資本金等の額が大きくなることによって純資産価額が増大します。
ですので、債務超過の会社は、株価算定上の比準要素が増えることによって株価が下がる可能性がありえます。