税理士塩見健二著
不動産開発型融資の概要
財務内容が銀行が設定する基準を満たしていない場合は、土地の仕入れ資金のみ融資となります。
ですので、戸建等の建物の開発資金、リフォーム代金、解体費用は、原則として融資対象に含まれません。
この銀行が設定する財務内容の基準は、各金融機関の各支店によって異なってきます。
融資残高を伸ばしたい支店は、積極的に担保がとれていない建築資金も融資します。
ですが、保守的な支店ですと土地だけの融資となっていきます。
日本住宅無尽の概要
上記のような開発資金も融資対象とするノンバンクがあります。
そのひとつが三菱UFJ銀行の関連会社である日本住宅無尽株式会社です。
その特徴は、以下のとおりです。
適用される法律は、貸金業法が適用されず無尽業法という法律が適用されます。
融資対象の不動産が住宅に係るものに限定されます。オフィスや商業は融資対象外です。
融資対象エリアは、東京、神奈川、千葉、埼玉、山梨、茨城の一都五県と幅広いエリアです。
再建築不可、容積率オーバー、告知事項ありといった不動産も融資対象です。
販売が難航している、プロジェクトが進んでいないプロジェクトのリファイナンスの引受は、してくれないです。
日本住宅無尽への加入条件
日本住宅無尽への加入は、宅地建物取引業者に限定されます。
よほどな限り入会は拒否されないです。
入会が拒否される事例としては、過去に三菱UFJ銀行や日本住宅無尽の融資を踏み倒した経験があることです。
日本住宅無尽の融資条件
日本住宅無尽では、毎月定額の無尽(掛け金)を支払います。
10万円、30万円、100万円といった感じです。
決済日の前月末日までに希望融資額の10%を積み立ておけば基本的に満額の融資がなされます。
不動産の担保評価を無視したファイナンスです。
基本的に満額の融資実行がなされるので自己資金が不足して不動産を決済できないという最悪の事態は防げます。
あと返済も3年位は迫られないです。
ただ、毎月の掛け金が返済に充当されます。
金融コストは、融資額の月々0.6%の利息。
利息の他に不動産が売却できたときに解約事務手数料です。
開発資金を融資検討できるノンバンクは、日本住宅無尽以外にもあります。
ただ、自己資金の負担、与信のハードル、開発内容の制限、融資上限が小さいと様々な制約をうける場合が多いようです。
日本住宅無尽は、このように独自の融資審査をするため非常に利用しやすい金融会社です。
会計処理のポイント
日本住宅無尽は、毎月無尽を積み立てていきます。
この無尽の積立金は、いつでも解約したら現金化できます。
ですので、会計処理は、預け金となります。
金融機関の担当者には、日本住宅無尽のことを知らない人もいます。
金融機関は、毎事業年度の決算書の内訳書に名前がでている先について質問されます。
日本住宅無尽からの融資は、会計上の処理がかわります。
短期で売却するプロジェクトの場合ですと、短期借入金として処理します。
長期保有する不動産の融資ですと、長期借入金として処理します。
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