税理士塩見健二著
事業会社で連帯保証契約になりやすい契約とは
すべての契約において連帯保証人が必要になるわけではないです。
連帯保証人を求められることが多い契約は、下記のとおりです。
融資に関する金銭消費貸借契約
法人融資に関する連帯保証は、原則として代表者保証が求められます。
ただし、日本政策金融公庫からの融資は、原則として連帯保証人が不要となっています。
ですが、日本政策金融公庫は業績悪化会社だと代表者保証を求めます。
子会社、関連会社、SPCへの融資ですと債権者より代表者保証以外に親会社の連帯保証が求められます。
不動産の賃貸者契約
不動産の賃貸借契約の連帯保証に関する実務は、上記の融資に関する連帯保証と同様です。
融資や不動産の賃貸借契約に付される信用保証契約
信用保証は、信用保証協会からの保証や民間の保証会社による信用保証があります。
信用保証は、融資や不動産の賃貸借契約と異なり親会社の保証まで求められないようです。
連帯保証の解除(外れる方法)
連帯保証は、その保証に関する主契約が生き続ける限り逃れられないと考えてもらって差し支えないです。
ただし、下記のような場合は連帯保証人の加除が行われます。
M&A(会社を第三者に売却した場合)をした場合
中小企業の場合は、一人株主一人代表者というパターンが非常に多いです。
このような会社を第三者に売却する場合は融資および信用保証人に関する代表者保証は外れる場合が多いです。
代表者保証が外れない場合は、買主の会社の財務内容が悪い場合です。
不動産の賃貸借契約は、通常ですと代表者がかわると新しい代表者に連帯保証が書き換えられます。
連帯保証が外れないM&A(会社分割)
ある事業を会社分割をして子会社や兄弟会社にした場合は、連帯保証の地位もそのまま承継されます。
ですので、連帯保証人は、親会社と子会社の代表者になります。
親会社の連帯保証を外す方法
融資の場合は、原則として親会社の連帯保証がないと融資審査は進まないです。
ですが、親会社との関係性が疎遠であることや子会社の売却に向けて交渉中であること等の場合は、親会社の連帯保証無しで融資審査を進めれます。
不動産の賃貸借契約で親会社の連帯保証を外す方法は、敷金の積み増しがオーソドックになります。
融資の借り換えによる代表者連帯保証外し
融資条件は、金利が限界まで低くなると次に代表者の連帯保証がない融資提案になります。
ですので、借り換えで代表者の連帯保証が付されている融資を全て代表者保証無しの融資に変えていくことができます。
2023年4月~代表者保証に関するルール変更
2023年4月~金融機関からの融資について、代表者保証がなぜ必要なのかを代表者に説明する必要がでてきました。
2023年4月より前の融資については、「金融機関に代表者保証を外して欲しい」と交渉したら金融機関において机上にあがります。
当然に、信用保証協会の保証に係る代表者保証もまたルール変更の影響があります。
連帯保証人に付されるとき
会社の業績がいいときは、(代表者)連帯保証人の融資契約になることもあります。
ですが、ひとたび会社の業績が悪化すると融資契約に連帯保証人が必須になります。
さらに、債務超過、2期連続の赤字といった金融機関内での債務者区分にて”要注意先”、”破綻懸念先”になると生命保険契約も加入になります。
代表者の退任
代表者の退任には、定年による退職や辞任による退職等があります。
辞任の場合は、代表者が反社会的な行動をしたことにより辞任することが多いイメージです。
代表者の変更により通常は、新代表者が新たに連帯保証人に加わり旧代表者が除外となります。
相続(死亡)したときの連帯保証の取り扱い
相続対策で不動産を買うとき
相続対策で不動産を購入する場合は、主債務者が高齢の場合にあたります。
ですので、債務者は融資条件に相続人候補の連帯保証も求めます。
相続人のいない主債務者は融資を受けられないと思った方がいいです。
事業承継中のとき
父から子に事業承継するような場合は、融資ですと父の代表者保証以外に子の連帯保証も求められます。
連帯保証人が死亡したとき
連帯保証人である代表者が交通事故等で急遽死亡した場合は、その会社を承継する人が新たに連帯保証人になります。
このように代表者が急遽死亡した場合は、銀行は下記のような行動をとると考えられます。
融資が保証、担保で保全されている場合は、繰上弁済を求めないです。
融資が保証、担保で保全されていない場合は、繰上弁済を求めます。
このときに会社で死亡保障の保険に加入していると、その受取り保険で債務の弁済をすることになります。
雇われ社長の連帯保証の取り扱い
雇われ社長とは、株式をもっていないが会社の代表者になっている状態をいいます。
雇われ社長だとしても融資を受ける場合や不動産を借りる場合は、代表保証にはいることになります。
通常の会社は、親会社の代表者が子会社の代表者を兼務します。
その子会社をオペレーションする責任者は取締役に就任している場合が多いです。
連帯保証人が自己破産した場合
連帯保証人が自己破産した場合は、債権者や保証会社から別の連帯保証人を求められます。
会社の代表者が、個人的な事業で失敗して自己破産した場合は、銀行や信用保証協会から代表者を変更しないと与信審査をしないといわれます。
また、自己破産をするときの弁護士費用は個人50万円が目安です。
この50万円がない場合は、弁護士から毎月2万円といった金額を貯金してお金が溜まったら自己破産の準備にはいります。
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