経常運転資金の与信審査上の考え方を説明します。
経常運転資金の考え方
経常運転資金をなぜ融資審査の土台にのるのかといいますと年商の増加に伴い人件費、家賃といった固定費も増加していくものです。
このように事業規模が大きくなりますと、年商に対して相対的に手許預金の量が少なくなってきます。
そうなりますと手許資金が少なくなるため資金繰りがきつくなっていきます。
この資金繰り対策としては、株式を発行したりしてエクイティで資金を集めるのか、それとも金融機関からの融資で資金を集めるのかということになっていきます。
金融機関からの融資の資金使途が経常運転資金となるのです。
黒字会社への経常運転資金
黒字会社への経常運転資金は、金融機関にとっては債権の回収可能性に問題ない融資として前向きに検討となります。
それは純粋な真水融資であっても既往債務の打ち直しの借換えであっても同じです。
黒字会社へは新規の金融機関も初回取引として経常運転資金の支援もしやすいものといえます。
金融機関も黒字会社でしたら同じ資金使途(売掛金や在庫見合い)でわかっていながら二重金融もしてくれたりします。
赤字会社への経常運転資金の融資打診の勘所
上記②の黒字とは逆の局面の赤字の場合は、経常運転資金の融資も話がかわってきます。
設備資金しか融資をしていない金融機関に、運転資金を打診したとしても、その金融機関の融資が設備資金なので運転資金を融資することは他行融資の肩代わり資金とみられてしまいます。
ですので、経常運転資金といった借換えを前提とした反復資金は、その資金使途で融資支援をした金融機関に融資を打診するのが考え方となってきます。
ただ、設備資金を融資した金融機関でその設備資金による赤字損失は、その金融機関で面倒をみるという考え方もあります。
保証協会の保証枠がある場合は、保証枠の範囲で融資する金融機関はあります。
あと、赤字の会社ですと新規の金融機関と取引はできないと考えた方がいいです。
赤字決算で締めた後は、決算後6ヶ月時点の試算表で黒字になっていたら試算表も考慮して融資審査となります。