会社が大きくなるにつれて事業を多角化していったりエリアで区切ったりと法人の数が増えていくものです。
このように連結会社が増える場合の融資実務上の注意点を説明します。
子会社が増えていく理由
子会社が増えていく理由は、さまざまです。
筆者の知る限りでは、業法の都合、人事、数字管理、新事業の立ち上げです。
業法は、宅建業、人材派遣業、貸金業といった許認可を取得した法人を別個に新設する場合です。
余談になりますが、M&Aといった組織再編をするときは、課税関係も重要となりますが、以外と業法の存在で上手くスキームが完成しない場合がおおいです。
人事は、どの会社も優秀な人材を手放したくないものですから新設の子会社の責任者というポストに従事してもらう場合です。
数字管理は、大きな会社に多いです。単体の会社の部門別会計でなく法人で区切ることにより、会社単位で黒字赤字を明確にする目的です。
新事業の立ち上げは、既存事業が成功しているうちに新しい事業を作って新しい収益源を獲得する狙いです。
融資を含めたファイナンスの視点ですと、できるだけ法人数は少ない方がいいです。その理由は、下記に記載します。
新規行との取引
金融機関と新規の取引をする場合は、あまり多くの連結子会社が存在するグループ会社を敬遠されるケースがあります。
とくに地方銀行の東京支店で少人数で回している支店や銀行自体の規模が大きくない銀行は、敬遠されるようです。
理由は、簡単でして少人数でやっているので連結子会社の多い会社だと与信チェックに手間がとられてしまう、そもそも大きな与信をはるのが困難といったことがあげられます。
子会社の融資に係る支店
子会社が融資をうける場合は、基本的に親会社と同じ支店となります。
東京に本社があって新潟に子会社があるような会社の新潟の子会社への融資は、東京の本社の融資をうけている支店が融資実行するということです。
同じ支店でグループ全体の与信を管理することが手間がかからないからなんでしょうか。
ただし、海外子会社の場合は、その銀行の海外支店が対応してくれます。
融資の着金
連結子会社が多ければ多いほど各連結子会社の財務資料を金融機関から求められうことになります。
プロジェクト、納税、季節、賞与といった短期資金は、面倒なのか与信をはる債務者のみの資料ですむ場合が多いような気がします。
長期資金の場合は、連結子会社の資料も求められる場合が多いです。
申込から着金までは、明らかに法人は1社だけの方が早いです。