税理士塩見健二著
帝国データバンク(TDB)は、怪しい会社なのか?
帝国データバンクは、企業の情報収集サービスで国内最大手です。
類似サービス業者は、東京商工リサーチなどがあります。
サービスの内容は、倒産情報、企業信用調査、マーケティング、取引先状況の把握や与信になります。
ですので、特段に怪しい会社ではないです。
帝国データバンク(TDB)の利用方法
帝国データバンク(TDB)のデータを利用するときは、下記のような場合です。
事業者
同業他社の財布の事情を確認したいときや、新規の掛け取引を開始しようとするときにも利用します。
金融機関
条件(支店の範囲内、評点50点以上、年商5億円以上など)を設定して、ローラー作戦での営業活動に利用します。
上記のほかに税理士は、顧問先を金融機関に紹介をよくします。
そのときの流れは、金融機関に顧客の法人名、住所、代表者氏名を伝えます。
このときに一部の金融機関は、帝国データバンクを用いて照会をかけていきます。
不動産賃貸業者
オフィスビル、店舗ビルなどの商業ビルの不動産賃貸業者は、入居者の審査のときに利用します。
点数(評点)の見方
66点以上
中小企業ではとるのが難しいといわれています。
トヨタなどの昔からある老舗の大企業といったイメージです。
61~65点
経常的な黒字経営に加えて財務内容が良好であり、かつ手許資金も潤沢といった感じです。
50-60点
経常的な黒字企業です。
創業10年未満の会社で優良な財務内容もこのラインは狙えます。
50点未満
評価がつかないです。
D1
中小企業の中では、比較的優良な会社です。
財務内容はいいが銀行から飛込の営業がこないのは、このラインと考えてもいいです。
D2
多くの中小企業です。
可もなく、不可もなく。
利益調整で税前利益がほぼ0円みたいなイメージでしょうか。
D3
赤字であったり、社歴が浅い会社です。
銀行からのプロパー融資は困難な先です。
D4
取引には注意が必要なゾーンといわれています。
現金がなく、大幅な赤字、債務超過といった感じです。
リスケジュール先(※融資の返済条件の猶予中) がイメージといった感じです。
手許資金がないというのはデフォルトリスクが高く致命的な経営状態です。
帝国データバンク(TDB)の調査内容
決算に係る申告月の2ヵ月後ぐらいに会社宛てに、帝国データバンクから書類が届きます。
その書類に、取引先や本店所在地の変更などの一定の変更事項を記載します。
あとは、決算書だけを添付しておしまいです。
法人税の申告書は提出不要です。
決算書などの会社情報を帝国データバンク(TDB)に提出すると、後日お礼の電話があります。
商工リサーチ(類似業者)との比較
信用調査会社の国内大手は、帝国データバンクと商工リサーチとなります。
料金面は、帝国データバンクと商工リサーチと同じ内容になります。
調査に関する納期は、商工リサーチの方が若干早いようです。
通常で4営業日、最短2営業日のようです。
点数(評点)の上げ方
士業を取締役、監査役に就任
大きな会社になると弁護士、公認会計士、税理士を取締役に起用する場合があります。
これは会社のコンプライアンスを高めること、金融機関の評価向上の一環として行われます。
役員報酬
このときの士業の月役員報酬は、取締役で20万円~、監査役で10万円~が相場となっています。
会社の借金が大きいなどのイレギュラーパターンになると割り増しの役員報酬になります。
契約内容
士業が取締役や監査役に就任する場合は、責任限定契約が一般的です。
これは非業務執行取締役にのみ許される契約です。
その契約内容は、会社にトラブルがあったときの責任追及が限定されるものです。
インタビューをうける
帝国データバンクのインタビューをうけると、悪い方向に点数がふられることは少ないようです。
面談時のポイント
帝国データバンクの担当者との面談の際は、社長と決算書をつくった先生に同席してもらうことです。
先生には、決算書の内容を説明してもらうと効果的です。
数字の主な説明の仕方は、下記のとおりです。
貸借対照表は、数字が大きい勘定の中身を説明する。
損益計算書は、固定費の中のイレギュラーな中身を説明する。
あとは、翌期以降の業績見通しを説明しておしまいです。
純資産価額を増加させる
含み益がある有価証券、多額の解約返戻金がある保険契約を時価評価することによって、純資産価額が増加します。
純資産価額が大きい会社ほど財務評価があります。
含み益のある不動産と注記
賃貸不動産を保有している会社は、賃貸不動産会計基準が適用されます。
この会計基準は、決算書の付随資料である個別注記表に賃貸不動産の時価を記載する指針です。
決算書を読んだ人は、含み益をこのような資料で把握することができます。
決算対策
よくできる税理士は、決算対策を決算月の前々月に行います。
決算対策の論点は、納税だけでないです。
銀行融資の審査基準、社債の適債基準、帝国データバンクの評点といったことも考えて決算対策を提案します。
その過程で社長は、決算賞与をどうするか、必要な資材を当期に買っておくか、来期に回すかを考えます。
下記チャートは、信用保証協会による私募社債の適債基準の指標です。
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