税理士塩見健二著
不動産業者は、違反物件が相場の半値位で取引されるためこれを仕入れて尊法性ある建物に加工して再販売します。
違反物件の類型
①建築基準法等の法令に違反する物件は、下記のようなものがおおいです。
②行政への届出なしで増築した物件(建ぺい率オーバー)
③行政には車庫で届出ているが実態が店舗、事務所等に転用されていることによる容積率オーバー(車庫転)
④建築確認は事務所で申請しているが実態は居住用(用途違反)
⑤区分マンションにて管理規約では居住用であるが、実態が事務所利用(管理規約違反)
⑥都市計画法に定める用途地域で許可された事業が営まれている物件(用途地域違反)
⑦戸建て等によくありますが、オーナーが勝手に増床した物件(容積率オーバー)
重要事項説明
重要事項説明には、その不動産の状態が書かれている書類です。
この重要事項説明は最終ページに、上記のような違反物件である旨が記載されています。
ですので、金融機関は融資審査の際に売買契約書とセットでの重要事項説明も融資希望者に求めるのです。
プロジェクトの内容
解体土地売り
違反物件であったとしても違反物件の解体土地売りのプロジェクトである場合は特段融資審査で問題とならないです。
車庫転
建築確認では1Fを車庫であるのに現況が店舗や事務所になっている場合があります。
この店舗や事務所に立退き交渉をして、尊法性ある建物にして再販売するプロジェクトは厳しい融資審査になる傾向にあります。
軽微な容積オーバー
軽微な容積オーバーな場合は、建物の内容にもよりますが建築士と相談して建物の一部を自転車置き場にしたりして尊法性ある建物にします。
このようなプロジェクトは融資実績の多い金融機関に話を持ち掛けることが無難です。
用途違反
都市計画法では、用途地域を設けています。
これはそのエリアで営める事業の縛りをつけることを意味します。
一例では、第一種低層住宅地域でカラオケ店をオープンしてはいけません。みたいな感じです。
この用途違反をしているテナントも多いです。
このときの立退き交渉は、行政への通報が最終手段のようです。
違反物件に対する融資付け
上記のような違反物件へのレンダー選定を説明します。
銀行
銀行は、違反物件に対して融資をしないです。
門前払いと思ってもらって大丈夫です。
信用金庫、信用組合
信用金庫や信用組合は、違反物件を是正して尊法性を確保して転売するプロジェクト内容なら審査の土台にのってきます。
ただ、違反物件であるため融資量がフルローンでなかったりと融資条件は辛目になってきます。
ノンバンク(ファンド含む)
ノンバンクは、違反物件に対しても融資審査をします。
ただ、融資額が伸びません。
違法建築物件の場合は、建物評価額が0円となります。
土地の評価額も建物の解体コストを差し引いた額に、掛け目をいれた金額が融資金の上限となります。
そのため築の浅い建物等になると建物評価が0円のため多額の自己資金による対応となるケースが多いです。
ただ、一部のノンバンクは土地を実勢価格で評価することもあります。
この場合は、金融機関よりも融資量が伸びることもあります。
日本住宅無尽
日本住宅無尽は、違法建築物件であったとしても居住用なら、フルローンの不動産取得代金に加え、リフォーム代金も融資対象となります。
資金繰り等の財務、税務、会計をオールインワンで解決!