不動産取引において手付金を支払ったり、受け取ったりします。
多額の手付金は、不動産の売主からすると運転資金が増加するため欲しいものです。
仮登記とは
仮登記を活用する場合は、主に2パターンあります。
手続き上の不備
登記のための書類などが備わっていないことをいいます。
実体法上の不備
売買契約が予約の段階で止まっている場合(所有権移転請求仮登記)などがあります。
仮登記には対抗力(第三者に権利を主張する効力)はありません。
ですが、後日、本登記がなされた場合は、仮登記の順位が本登記の順位になります。
仮登記のコスト
司法書士報酬
5万円(税抜)前後です。
登録免許税
所有権移転仮登記の登録免許税は、1,000円~固定資産評価額の1.0%(10/1000)(登録免許税法17)になります。
注意しないといけないのは、本登記で別途登録免許税がかかります。
仮登記と金融業者の対応
不動産業者で保有中の不動産の販売活動において手付金を収受することがあります。
この手付金は、不動産の買主(プロ:業者)からすると何らかの保全をしたいものです。
プロの場合は、宅地建物取引業の保護をうけれないため多額の手付金を危険にさらしてしまいます。
そこで所有権移転のための仮登記がなされます。
この仮登記は、すでに不動産に抵当権を設定している金融業者によって対応がかわります。
金融機関の場合
仮登記の目的が販売活動中における所有権移転だと特段、登記しても問題はないです。
金融機関が嫌がるのは、差押や仮差押といったネガティブな原因による登記を嫌がります。
差押や仮差押は、金融機関と締結している融資約款において期限の利益の喪失事由(請求失期事由)に該当します。
なお、請求失期事由は、融資を約定通りに返済しなかった、銀行との取り決めを破った、その他債権の保全が必要になった(資金ショートしそう)とかです。
必要書類
金融機関は、自行の担保物に抵当権等の権利が設定されるときに稟議にかける必要があります。
そのため金融機関は、所有権移転のための仮登記に関する売買契約書といったエビデンスを債務者に求めることになります。
ノンバンクの場合
金融機関とは異なり所有権移転という前向きな理由の仮登記だとしても登記を認めないです。
担保物の不動産に2番抵当設定を認めないのと同じです。
仮に、仮登記をした場合は次回以降の取引ができなくなると考えてもらって差し支えがないです。
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