税理士塩見健二著
不動産価格は3つに分けられる
買った瞬間に値崩れする不動産
不動産の中には、買った瞬間に再販売価格が下回っている不動産があります。
その例は、下記のとおりです。
①新築不動産
②高値掴みした不動産
値上がりが期待できる不動産
いわゆる希少性のある下記のような不動産です。
①オーナーチェンジで購入したファミリーマンションで賃借人が退去した場合
②人気アドレスの不動産。東京都港区などの人気エリアは、少々高くてもいいものが欲しい、という方が買っていくエリアです。
③タワーマンションのペントハウス。圧倒的に供給戸数が少ないからです。
価値が落ち切った不動産
①築30年前後のRC
②建物が耐用年数越えで土地値以下の不動産
日本の不動産マーケット
日本の不動産市場は、上がったり、下がったりしています。
ですので、不動産投資での鉄板の勝ちパターンは、表面利回りのいい不動産を購入することです。
不動産マーケットが壊れたとしても、そのときは家賃収入でローンの返済を進めたらいいのです。
不動産マーケットが上昇しているときに手離れさせたらOKです。
不動産投資の数値指標
表面利回り
表面利回りの目線は、8%以上が必須になります。
これはローンの金利を考慮すると物件価格の8%以上の家賃売上がないと空室リスク、大規模修繕、納税、ローン返済がカバーできないからです。
不動産業者が提示する想定利回りはあてにならないです。
地場の業者にヒアリングして、その賃料で入居が決まるか確認する必要があります。
キャップレート
キャップレートとは、表面利回りからローン金利を差し引いたレートになります。
ローン金利は、どの金融機関を利用するのかによってかわってきます。
キャップレートの最低目線は、6%になります。
基本的に金利の低い順番でいいますと、メガバンク→地方銀行→信用金庫→信用組合→ノンバンクとなります。
家賃売上
家賃売上が小さくても大きくても1個の不動産です。
手間もかかりますし、税理士報酬等の間接コストも生じます。
ですので、ある程度大きな売上が見込める不動産の方が管理が楽になってきます。
特に、ご自身のお住まいから遠い不動産については家賃売上が大きいにこしたことはないです。
あと、現況、割安な賃料で貸している場合は、賃借人に値上げ交渉をします。
なかなか、応じないものです。
大規模修繕
一棟物の大規模修繕
一棟物の大きな修繕は、築30年で下記の修繕が見込まれます。
屋上防水、外壁塗装、キュービクル、エレベーター
区分物の大規模修繕
風呂、キッチンはお金がかかります。
フルリフォームするのにワンルームですと200万円位が目線になります。
出口戦略
一棟物
解体して土地売り、立て直し、転売といろいろ検討できます。
区分
①ワンルームは投資用として転売するしかないです。
②ファミリーは投資用、実需用として転売できます。
ローンの目線
融資量、金利、期間
融資量、金利、期間は、下記のような関係があります。
融資が伸びない不動産
担保評価が伸びない代表的な不動産は下記のとおりです。
担保評価が伸びないということは自己資金の負担が大きくなることを意味します。
①地形が悪い土地※三角地、旗竿地
②間口狭小の土地
③接道が悪い土地
④私道に接道する土地
⑤接道の幅が狭い土地
⑥借地
⑦がけ地
大規模修繕
大規模修繕は、下記のようなローンの組み方になります。
基本的に融資する銀行は、投資不動産の取得資金を融資した金融機関になります。
担保枠が空いていない場合は、信用保証協会付き融資を利用することになります。
担保枠が空いている場合は、担保枠を利用することになります。
投資不動産の見方
築年数が古くなったとしても家賃を下げたら入居が決まりそうと判断できたらOKです。
あとは、ご自身でそのエリアに住めるか、その不動産に住めるか、という判断が重要になります。
ご自身が住めないエリア、お金を出して住みたくない不動産は買わない方がいいです。
投資不動産の失敗例、リスク
空室リスク
同じ地域に、同じ築年数、同じ間取りの不動産がたくさんあると競合してしまいます。
こうなると家賃を値下げして空室を埋めるしかないので資金繰りが厳しくなります。
投資対象不動産の近隣をみて入居者募集看板が頻出しているエリアは要注意です。
コンビニが撤退しているエリアも要注意といいます。
駅から遠い物件のリスク
駅から離れるほど入居が厳しくなります。これは駅を中心に離れるほど360度で競合が増えていきます。
高値掴みのリスク
不動産投資は仕入れ値で、ほぼ勝負がきまります。
入居付けが困難な不動産であっても高買いしなければリスクが軽減されます。
ポイントは、不動産価格が値崩れ中であっても家賃売上だけで返済も賄えて持ち出しゼロの状態にしておくことです。
持ち出しがある場合は、金融機関からDSCR100%未満と判断され評価が非常に悪くなります。
地方物件のリスク
東京都在住の方で北海道等の地方物件を購入する場合があります。
地方の方が東京都と比較すると高利回りだからです。
ですが、不動産を点検しにいったり、修繕の業者と打ち合わせをするために飛行機にのる必要があります。
プロは、自分の生活圏から電車で1時間圏内の物件を買っているイメージです。
あと、地方物件を購入すると銀行融資の審査が通らなくなります。
築古物件のリスク
築古物件は、一般的に不人気物件のため割安で購入できます。
築50年ぐらいの旧耐震物件は躯体に問題がなくても水回りに問題があります。
配管が塩ビ管でなく、鉄管の場合は赤錆がでて破裂する場合があります。
その他下水管が詰まったりと水回りのトラブルが絶えないです。
商業物件のリスク
オフィス、店舗といった商業物件はレジデンスと異なり入居まで1年空室といったリスクがあります。
借地権物件のリスク
借地権の物件は、底地人との金銭トラブルに発展しやすいです。
トラブルとしては、借地料、名義書き換え料、建替え承諾料です。
名義書き換え料は、所有権移転や相続時に発生します。
建替え承諾料は、建物を建て替えるときに底地人に支払う金銭です。
隠れ負債
事業計画段階で家賃収入から固定費、税、ローン返済を差し引いた手残りが少ない場合ですと大規模修繕コストが不動産からの収入だけで賄えなくなります。
賄えない場合は、大規模修繕のために新たにローンを組む必要がでてきます。
フラット35を利用するリスク
フラット35は、居住用の不動産取得にのみ利用できるローンです。
フラット35の不正利用による不利益
このローンを投資用不動産取得に利用した場合は、下記のような不利益を被ります。
①不正が判明した場合の融資詐欺事件としての告発
②不動産の買い増しができない。これは金融機関が既存物件の融資を調査するときに不正が発覚します。
③融資詐欺と判断された場合は、破産法を適用しても債務免責にならない可能性があります。
フラット35の調査の仕方
無作為に何年何月~何年何月までの融資実行という形で抜き取られて調査される場合があります。
そして住宅金融支援機構から債務者へ転送不要郵便で郵送物が送付されます。
郵送物がフラット35に返信されたら債務者への接触になります。
住宅用として住んでいる証明書として水道光熱費の領収書の開示を求められます。
投資不動産による節税
投資不動産ではよく節税をうたい文句に区分マンションを紹介されます。
逆にいえば、節税しかうまみがないということになります。
いい物件を購入すると家賃収入や値上がり益で所得がでてしまいます。
納税できる不動産がいい不動産といえます。
新築不動産投資の儲け方
東京都内は、中古不動産は高すぎて手がだせないといいます。
そこで素地の仕入からマンション開発をして数年間保有して売却するスキームがあります。
これはマンション開発業者の粗利益を不動産投資家が手にするやり方です。
数年間保有というのは、金融機関から完成後すぐに転売すると資金使途違反で出入り禁止になるため保有します。
クラウドファンディング投資
不動産業者の不動産の仕入資金をクラウドファンディングを用いて融資金の投資が流行っています。
不動産担保があって年利5%前後で投資できるため非常に人気です。
ですが、クラウドファンディング業者は、金融機関よりも担保査定を甘くしがちです。
ですので、不動産仕入れ業者が返済できない事態も生じる可能性があります。
ワンルームマンション投資で勝つ方法
ワンルームマンションは、出口戦略が投資用での売却しかないです。
そのためファミリーマンションに比べると割安で売買されます。
この状況で勝つには、即転売しても粗利益が見込める価格で買うことが重要になります。
築30年前後のワンルームマンションの仕入は、物件の適正価格から風呂、キッチン等の水回りの修繕費を差し引いた価格での指値になります。
不動産投資の資金繰り
不動産投資の醍醐味は、ローンでレバレッジを掛けて自己資金の何倍もの利益を手にすることにあります。
当然、不動産を保有している間はローンの返済がつづいています。
不動産を売却したときに初めて粗利益を手にすることができます。
ですので、不動産を保有中は一切手許現金が増えずローンの残高だけが減っている感じです。