税理士塩見健二著
会社において刑事事件が起こった、行政指導が入った、金銭トラブルが発覚したときの金融機関対応を説明します。
金融機関への報告の仕方
会社においてトラブルが起こったときは、遅かれ早かれ金融機関に知れ渡ります。
ですので、ポイントとしては、会社から金融機関に説明をすることが大切になります。
特に、融資残高の大きなメインバンクには一刻も早く説明し、支援を取り付けることが大切になります。
ここで債務残高が大きいが保証協会のみの融資をしている金融機関は、「当行はメインでない」等と発言することが多いです。
こうなりますと、音頭をとる金融機関が不在なので最悪です。
日ごろから積極的に関与してくれる金融機関と取引することが、大切だなとこういうときに思います。
金融機関に説明するときは、「〇〇が起きた、今後は、こうしていく予定」ということが大切になります。
その後の金融機関の対応は、とりあえず完済して欲しい、債務残高見合いの担保(預金でもOK)が欲しい、メインの移行に従う、支援し続けるのどれかになります。
支援し続ける金融機関は、保証協会に連れて行ってくれたりしてくれるものです。
帝国データバンク等からの調査依頼
アクシデントが起こった会社には、なぜか帝国データバンクや商工リサーチからの調査依頼がきます。
どこかの会社がリサーチをかけているのだとおもいます。
リサーチ内容は、特段、踏み込んだヒアリングはないです。
金融機関の対応
残高が少ない金融機関
残高の少ない金融機関の場合は、一旦、お金を返して欲しいといわれる場合が多いです。
その他としては、完済が近いので融資額と同額を現金を自行の口座に置いておく、ないしは定期預金にして欲しい、と言われます。
この場合は、信用保証協会付き融資で保全がとれている場合であっても同様のことをいわれる可能性があります。
残高の多い金融機関
残高が多い金融機関は、保全状況や関与度合でかわってくるようです。
融資残高がサブの金融機関は、メインの意向に従う、という回答が多いようです。
保全がとれている場合
特段、騒ぐことはないようです。
保全がとれていない場合
重要度の度合にもよりますが、金融機関は、動産にまで担保設定をしないです。
ですが、マズイ状態になると一旦なんでも担保にとるようです。
結論
このようなピンチなときに、金融機関の対応をみて何処と取引するか考えさせられるときだとおもいます。
信用保証協会の対応
金融債権者間での情報の平等
複数の金融機関と取引している債務者は、融資残高の少ない金融機関まで情報共有したくないものです。
そのため融資残高の多い金融機関と少ない金融機関で情報の格差が生じてしまいます。
そこで信用保証協会は、すべての金融債権者に報告するように等と助言をしてくれます。
そのあとに信用保証協会からは、取引のある全金融機関の支援スタンスを教えるように指示されます。
保証審査
飲酒運転や詐欺行為がテレビ報道された場合は、遅かれ早かれ信用保証協会も知ることになります。
このような反社会的なトラブルを起こした代表者がいる会社に、信用保証協会は保証審査をしないです。
そのため信用保証協会からは、代表者を変えるまで保証審査を進めないと言われることが多いです。
審査再開は、代表者変更が完了した登記簿の提出になります。
だいたい登記簿が出来上がるのに2週間ほどかかります。
代表者の退職と金融機関の感のよさ
企業業績がいいのに、代表者が退職している場合は、会社に問題があるか、代表者に問題があるか、のいずれかになってきます。
金融機関も、ここは経験上で感づくようです。
ですので、新規行と取引するときは、なぜ代表者が退職したのか、と必ずヒアリングしてくるものです。
融資再開の時期
メイン行
メイン行で音頭をとってくれる金融機関は、トラブルが解決した段階から新規の融資審査をはじめてくれます。
サブ行
会社で大きなトラブルがあったときは、トラブルが解決して、かつ、決算申告書を金融機関に提出してから融資審査の再開となります。
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