税理士塩見健二著
出店資金を3つに分解
出店資金は、大きくみると、物件取得、店舗設備、諸経費の払いに分解できます。
物件取得である設備資金と諸経費の支払いである運転資金は、銀行融資が資金調達候補になります。
設備資金は、その支払いを融資する銀行で振込することになる可能性が大いにあります。
ですので、本社や社長の自宅の近くに支店がある銀行がオススメです。
店舗設備は、銀行融資の他にリース会社も資金調達候補になります。
リースを検討するときの財務内容の目線
リースを検討するときの前提は、3つに分類できます。
1つ目は、財務内容が悪化しており銀行からの追加融資が見込めない状況です。
具体的には、純資産額がほぼ0円に近い、投資のしずぎで純資産比率が5%未満といったところです。
このような事業者ですと銀行からの資金調達が困難になることからリースが検討されます。
リースが銀行融資より後回しの理由は、資金調達コストが銀行よりも高いからです。
2つ目は、銀行の与信枠や保証協会の保証枠をあけておきたいときです。
常に売掛金や在庫が生じる商売ですと、これらの与信枠、保証枠を残しておかないと資金が回らなくなるからです。
3つ目は、リース会計基準の適用外しです。
リース取引は、原則としてリース会計基準によって、リース資産とリース負債をBSにオンバランスすることになります。
そうなりますと純資産比率が小さくなり財務内容が悪化します。
リース会計には、300万円以下のリース取引についてオンバランス不要の規定があります。
この規定を利用して純資産比率をよくみせようとします。
リース取引の範囲と注意点
リース取引の範囲は、リース物件のみです。
例として店舗をひっくり返したときに落ちるものといわれます。
要は、店舗建物に付属していないものです。パソコン、プリンター、冷蔵庫とかです。
ですので、店舗出店に伴う人員増加による人件費、採用教育費、広告宣伝費等の諸経費はリースに含まれないです。
ということは、その支払いは自己資金となり手許資金が目減りします。
ですので、諸経費の支払い部分は運転資金の融資が必要となります。
協調リースの検討
リース会社は、独自の与信審査のバーをもうけています。
この会社なら、これぐらいの与信は張れるといったかんじです。
ですのでリース会社の与信審査で満足いくリース金額にたっしない場合は複数のリース会社にリース取引を打診する必要があります。
Aリースにパソコン、Bリースに自動車、Cリースに冷蔵庫といった感じです。
協調リースを検討する場合は、相当財務内容が痛んでいます。
ですので、法人の代表者以外の連帯保証人を求められる場合が想定できます。
協調リースは、リース会社が複数であることから申し込み、審査、着金が単独リースよりも遅れることが検討できます。
ですので、リース物件が必要なときから逆算して2ヵ月前には、リース会社に申し込みをすることをオススメします。
リース債務の繰上弁済
リース債務は、利率に直すと銀行融資に比べると割高な金融サービスです。
ですので、お金に余裕がある、金融機関から真水融資の提案をうけた場合は、このリース債務を繰上弁済も検討すると思います。
ここで注意しないといけないのは、リース債務は、その債務額に最初から利息相当の金額も既に載せられています(アドオン方式)。
ですので、リース債務を繰上弁済するということは、将来の利息分も支払うということになってしまいます。
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