コロナウイルス関連で企業倒産の話が毎日のようにでております。
今日は、この企業の事業停止から破産申立てまでのスケジュールを説明します。
まだ資金ショートはしていないですが、事業の先行きが見えない企業は、内々で弁護士と打ち合わせをして事業停止日を決定していきます。
事業停止日(以下「Xデー」という)に選ばれるのは、例えば手形の不渡り確定日等です。
Xデーから破産申し立て迄はこうです。
今回は、朝に事業を停止するバージョンです。
AM8:30に、弁護士が事業者の事務所にお伺いをします。
そこでは、取締役が事業停止及び破産申し立ての取締役会決議を行います。
取締役が弁護士に、取締役会議事録、委任契約書、委任状を手渡します。
次は、弁護士が事業者の実印、現金、契約書類、決算書といった書類を預かります。
AM9:00の始業開始時間に全従業員を会議室に招集します。
そこでは代表者から事業停止及び破産申し立ての説明し、全従業員の解雇を言い渡します。
その後に弁護士から従業員に、労働局の失業給付のパンフレットを配布します。
それに続き、破産手続きの概要、破産に至った経緯、破産申し立て時期、失業保険の受給方法、健康保険の切り替え方法、未払賃金立替制度等の説明がなされます。
人材紹介会社も介在していれば、そのまま転職の斡旋も行います。
全従業員への解雇通知等が行われた後は、弁護士事務所より銀行をはじめとした債権者にFAX等を用いて弁護士の受任通知を行います。
これによって相殺禁止の基準時を明確化します。
この相殺禁止は、金融機関ですと預金債務と融資債権を相殺することを言います。
このときの弁護士事務所の電話は、ずっとなりぱなっしということです。
弁護士の受任通知後は、売掛先に連絡をして入金を早めてもらえないかの確認をとっていきます。
この売掛金の入金を従業員への解雇予告手当に使ったりします。
注意しないといけないのは、解雇予告手当と未払賃金は異なります。
未払賃金の方については、労働局に立替請求するといった感じです。
売掛金の入金確認の次は、商品在庫等の財産目録の作成です。
これは債権者が勝手に在庫を持って帰らないようにするためです。
最後は、告知書を事務所や倉庫に貼り付けます。
銀行は、この告知書を写真にとって事業停止をした旨を確認してから保証協会に代位弁済の申込みをするといった感じです。
弁護士は、このあとに預かった契約書をみて、切る契約と残す契約に仕分けていきます。
その目線は、破産管財人が困らないようにするといった視線です。
このようにして事業停止日の作業が行われ、裁判所に破産の申し立てが行われます。