親会社から子会社の役員等のキーマンが、その子会社株式を買い取るファイナンスをMBOファイナンスといいます。
MBOファイナンスの類型
MBOファイナンスは、大きくわけて2種類にわけられます。
一つ目は、今回のテーマである自己株式取得型です。
この手法によるファイナンスは、買収対象会社が金融機関から融資をうけて、それを株主から自社の株式を買取ります。
二つ目は、キーマンが株式を買い取るオーナーチェンジ型です。
この手法によるファイナンスは、オーナーチェンジによる新しい株主に金融機関が融資をして、旧株主から株式を買取ります。
ファイナンスの組み方と注意点
はじめは、自己株式取得型を説明します。
自己株式取得型の場合は、自己株式の取得により純資産額が減少してしまい、かつ、自己株式の取得資金の融資をうけるため純資産比率が悪化してしまいます。
ですので、事業を運営する上で金融機関からの融資が付きづらいということになってしまいます。
ですので、ここに日本政策金融公庫の資本性ローンをMBOファイナンスと同時に活用することによって純資産を厚くするといった財務上のテクニックを検討する必要があります。
あと、融資にかかる返済原資は、その買収対象会社の税後キャッシュとなります。
次は、オーナーチェンジ型を説明します。
オーナーチェンジ型の場合は、役員報酬を増額することによって融資の返済原資をうむことになります。
ですので、役員報酬の増加に伴い企業の損益が悪化してしまうといった事態が生じてしまいます。
融資にかかる返済原資は、新株主の役員報酬で、所得税を支払った後の所得となります。
要するに、自己株式型は法人税、オーナーチェンジ型は所得税を支払った後の資金が融資の返済原資になるということです。
ですので、数年にわたる納税を検討しながらスキームを選択する必要があります。
最後に注意したいのは、MBOファイナンスに対応してくれる金融機関の存在です。
自己株式取得型は、どこの金融機関も対応してくれる傾向にありますし、金利負担もコーポレートの与信を使うので高利にならない傾向にあります。
ですが、オーナーチェンジ型に対応してくれる金融機関は、自己株式取得型に比べて少ない傾向にあります。
そして金利負担が10%前後の金利提案をうけることがあります。