投資の失敗で大赤字で決算を閉めたあとの運転資金の融資の実務について説明します。
プロパー融資
民間金融機関からの大赤字の決算後にかかる新規の融資のプロパー対応は非常にハードルが高いです。
実務をみていますと、とりあえず様子見という金融機関が多いです。
様子見ですので、追加融資はないと考えた方がいいです。
理由としては、その融資は、赤字補填資金とみられてしますからです。
金融機関は赤字補填は自己資金で賄うものと考えるものです。
ですが、大赤字の決算のあとであってもプロパー融資を諦めることはないです。
以下のような場合は、プロパーによる対応も期待できます。
一つ目は、赤字の原因が明確になっており、その除去が完了していることです。
これは赤字の原因を、黒字にしている、撤退している、売却したという理由で赤字の垂れ流しがなくなっていることです。
二つ目は、前述に付随しますが黒字転換していることが確認できることです。
決算があけてから3ヶ月~6ヶ月のトラックデータがあれば審査対象となります。
本部稟議になる可能性が高いので着金まで余裕をみておいた方がいいです。
追加の設備資金
設備資金は、運転資金と審査の見方がかわってきます。
それは設備資金の返済原資が今後、新たに生じる売上に伴う利益です。
ですので、赤字補填のための他社の返済資金への充当(借金の肩代わり)にみえないです。
なので、運転は審査通らないけど設備なら審査が通るということがありえます。
とくに、今あたっている業態についてもっと投資がしたいというような資金使途は融資審査が通りやすいといえます。
本部稟議になる可能性が高いので着金まで余裕をみておいた方がいいです。
保証協会による保証
保証協会による保証支援は、大赤字の決算であってもいきなり保証謝絶ということが考えづらいです。
ただ、すでに保証枠を目一杯利用している場合は、追加の保証が期待できません。
ですが、あきらめるのはまだ早いです。
信用保証協会の保証は、毎月、保証商品のラインナップがかわっております。
直近ですと、消費税率の引き上げに伴う環境変化という保証商品は、審査が緩いといわれています。
ですので、既存の保証とは別口で増額保証ということもありえます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は国民生活と中小企業にわかれます。
当然、部門が異なるので審査もかわってきます。
はじめは国民生活の方です。
国民生活は、事業融資の世界でもっと審査が緩いと考えていいです。
その特徴としては、1社2,000万円が支店決済の上限で大赤字であっても融資審査をしてくれます。
ただ、融資を実行したあとに6ヶ月もたたずに追加融資をお願いすると嫌がられる可能性が高いです。
また、一度、融資を申込をして謝絶された場合は、その期の決算が終わるまで国民生活からの融資は、諦めた方がいいです。
中小事業は、年商の大きな会社と取引をする傾向にあります。
一つの基準は、年商5億円といわれています。
ここの運転資金の審査方法は民間とは異なります。
民間の場合は、必要な運転資金を求めて融資審査をかけていきます。
ですが、中小事業は、民間で補えきれない運転資金を算出して融資審査にかけるという特殊な算出をしていきます。