ビルに係る不動産賃貸業の概要を説明します。
担保評価
金融機関の融資にかかる担保評価の多くは、積算価額と収益還元価額を用いています。
収益ビルの場合、とくに駅前にあるビルは、容積率が大きいためノッポのビルが多いです。
そのため少ない土地にも関わらず家賃収入が大きいという特徴があります。
積算価額を求める場合は、このようなノッポのビルだと土地が小さいため担保評価が伸びないため多額の自己資金が必要になることが多いです。
あと土地面積が20坪未満の場合のビルは、エレベーターがついていない場合が多いです。
こういったエレ無しビルは4階以上の階層の家賃収入を0円とカウントして収益還元価額を算定する金融機関もあります。
税制
税制は、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、相続税の観点で説明します。
固定資産税、都市計画税は、土地の評価減の特例が適用されないため、これらの税がレジデンスに対して相対的に高く納税が必要となります。
不動産取得税も特例の税率が適用されないことから、レジデンスと比較して納税が高くなります。
相続税については、①で説明したように担保評価額が実勢価額と乖離する場合が多いため節税になる可能性が高いです。
収支
設備投資、家賃収入、金利、返済、転売損益から説明します。
設備投資は、レジデンスと比較すると高額になる場合が多いです。
これはビルの水道、電気の容量や配管、空調、OA環境、ネット環境、セキュリティ、トイレも万全でないとテナントがつきづらいといったことがいえます。
家賃収入は、レジデンスと違い、景気に大きく左右されるのがビルです。
家賃が大きくぶれることをボラティリティが大きいと言います。
このボラティリティが下振れしたときは、収支が合わなくなる場合がほとんどとなります。
ですので、資本力のある会社やファンドがビル投資をするということになります。
また、ビルの場合は、テナントが抜けたあとの後継テナントをつける期間が長めになる場合が多いといえます。
金利、返済の特徴は、中小公庫から旧耐震、耐用年数オーバーでの返済期間、固定、低金利で融資審査してくれるといった特徴がビルにあります。
売却益は、入居率が低いビルの場合は、テナントを埋めたあとに高値で再販売できる可能性をひめています。