登録免許税の計算、納税額
金融機関のローンを利用して不動産を取得する場合は、通常、不動産に対して抵当権設定を求められます。
抵当権設定に係る登録免許税は、債権額ないし極度額に対して4/1000(0.4%)課税されます。
債権額とは
完成された不動産に利用されます。
債権額が増加しない融資になります。
極度額とは
極度額は、開発型プロジェクト、注文住宅といった売建プロジェクトで利用します。
土地を仕入れた後に、頭金、中間金、残金を建築会社に支払います。
建築会社に分割払いするため極度額になるのです。
極度額の設定は、建築費が当初計画よりも上振れすることがよくあるため多めにしておくものです。
一般的なプロジェクト融資
不動産業者が不動産を購入し、加工し、転売する場合は、通常、不動産業者本体が仕入れます。
このときの仕入資金は、銀行融資を利用します。
不動産業者は、金融機関に対して仕入れた不動産に抵当権を設定させます。
転売するときに、売却代金で不動産についている抵当権を抹消します。
粗損失のプロジェクトの場合は、売却代金+自己資金で抵当権を抹消することになります。
登録免許税を節税するプロジェクト融資
10億円の融資をうけるようなプロジェクトの場合ですと、10億円×4/1000ですので登録免許税は、400万円になります。
登録免許税は、抵当権を設定することによって生じます。
逆にいえば、抵当権を設定しなければ課税されないです。
SPC(子会社)を組成し、株担保を利用する方法
不動産業者は、SPCを組成し、そのSPC株を金融機関に担保として提供すれば(質権設定)をすれば登録免許税は課税されないです。
質権設定は、住宅等の不動産を取得するときに金融機関が火災保険に対して質権を設定します。
それと似た感じです。
問題点
このやり方は、ファンドビジネスを得意とする金融機関ならば審査が通りやすいです。
ですが、地方銀行、信用金庫、信用組合では、事例が少ないためと断られる可能性が大いにあります。
金融機関からはSPCを活用する手法は、面倒なのでやらない。と言われたりします。
ファンド業者は、手馴れているので問題ないです。
与信の仕方
与信判断は、あくまで本体の不動産業者になります。
SPCの諸経費
登録免許税の節税はできたとしても税理士報酬などは生じてしまいます。
一事業年度50万円位です。
毎月、金融機関に資料を提出します。
開発型のプロジェクトでしたら土地仕入れ、開発、転売まで2年以上かかります。
プロジェクトが終わると通常は、解散、清算していきます。
解散、清算に係る税理士報酬は30万円位です。
SPCは、オーナーの資産管理会社として利用しても大丈夫です。
連帯保証人
ノンリコースローンでない限りは、親会社である不動産業者の連帯保証の加入が必須となります。
抵当権留保ファイナンス
抵当権留保ファイナンスとは、抵当権の設定をしないがいつでも抵当権を設定できる状態にしておく金融手法になります。
抵当権が留保状態のため登録免許税は課税されないです。
印鑑証明書は3ヵ月で有効期限がきれるため3ヵ月毎に資料のやり取りは必要となります。
プロジェクト融資でなく運転資金として融資する方法
年商規模、純資産額といった財務内容が良質な不動産業者の場合は、不動産の仕入資金をプロジェクト融資でなく運転資金融資で審査する場合もあります。
この融資は、当座の融資枠を設定していきその枠の範囲で融資するという手法です。
これは区分マンションを多く扱う不動産業者に多いです。
いちいち、仕入れの度に不動産をチェックしたりするのは、金融機関、不動産業者双方にとって手間しかかからないためです。
プロジェクト融資でないため不動産に抵当権を設定しないため登録免許税は課税されないです。
ロードマップ
金融機関は、最初の取引から当座の融資枠を設定しないです。
10件位のプロジェクト融資をしてから徐々に当座の枠の極増をしていきます。
極度枠の改定
極度枠は決算ごとに見直しが行われます。
担保価値がない不動産に融資する場合
耐用年数越えや借地の場合は、金融機関によって担保とみないため抵当権を設定しない場合があります。
とくに日本政策金融公庫は、収益目的、自社利用目的の不動産にしか融資をしないですが不動産取得資金を設備資金として審査してくれることもあります。
融資額が少ない場合
マイホームローンで残高が500万円を下回るような場合は、借り換え資金を銀行から提案されます。
そのときの融資の提案内容は、抵当権設定無しの借換資金です。
マイホームは、エリアで新築価格、築年数の目線がわかります。
新築価格、築年数がわかると残高債務もわかるものです。
ですので、銀行員は、ローラー作戦で一件一件訪問して借り換え提案をしていきます。
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