税理士塩見健二著
親子ローン
日本法人が海外子法人や海外支店を作って事業をするときの融資は、大きく分けて2種類あります。
1つ目は、日本法人が金融機関からお金を借りて、そのお金を子会社に転貸するやり方です。
このパターンのメリット、デメリットは次の通りです。
メリットは、比較的容易な融資審査であることです。
デメリットは、親会社のBSに子会社貸付金と長期借入金が両建てになることから純資産比率が悪化することになります。
2つ目は、海外子会社に直接、現地の金融機関から融資を受ける場合です。
このパターンのメリット、デメリットは次の通りです。
メリットは、親子ローンの場合ですと投資する国という縛りがないことです。
デメリットは、金利負担です。
日本は他の国と比較しても金利水準が低いといえます。
現地法人に直接融資を実行すると、その国の適用金利水準で適用されることです。
信用保証協会付き融資
保証協会付き融資の前提は、親子ローンになります。
東京信用保証協会が発売している保証商品には、「海外展開支援(略称:海外展開)」があります。
信用保証内容は、運転、設備ともに可、最大保証2.8億円となっています。
この保証は、通常の提出書類の他に下記の書類が必要となります。
海外展開事業計画書とJETRO等から支援をうける場合は、海外展開支援内容証明申請書となっています。
この手の保証は、保証協会のスタッフや銀行員さんも手馴れていないので申込から着金まで3ヵ月位見た方がいいとおもいます。
日本政策金融公庫(海外・事業再編資金)
日本政策金融公庫は、国民生活事業と中小企業事業部で2種類のローンが用意されています。
国民生活事業は、海外展開・事業再編資金という融資です。
主に海外進出に関する資金使途に利用されます。
融資枠は、7,200万円(運転4,800万円)となっております。
融資返済期間は、設備20年、運転7年が最長となっています。
中小企業事業部では、海外展開・事業再編資金と国民生活事業と同じ商品名の融資があります。
この商品の融資枠上限枠は、直接貸付14億4千万円(うち運転資金9億6千万円)となっています。
また、代理貸付1億2千万円あります。
代理貸付とは、貸出金融機関が民間金融機関ということです。
返済期間は、設備20年であり、運転7年となっています。
日本政策金融公庫(海外展開・事業再編資金(クロスボーダーローン)
日本政策金融公庫は、上記の海外・事業再編資金以外に中小事業部のみで海外展開・事業再編資金(クロスボーダーローン)を用意しています。
この商品は、海外の投資先がタイ、ベトナム、香港、シンガポールに限定されています。
融資枠の上限が14億4千万円(うち長期運転資金9億6千万円)と大きな商品となっています。
返済期間は、設備20年、運転7年となっています。
現地法人に直接融資することも可能としている商品です(※親会社の連帯保証は必要となっています)。
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