税理士塩見健二著
親会社連帯保証に必要な書類
親会社の代表者と子会社の代表者が同一人物の場合だと、子会社の債務に親会社が連帯保証を付すと利益相反の問題が起こります。
この利益相反の問題をクリアにするため、株主総会ないしは取締役会で利益相反の承認決議をとる必要がでてきます。
この株主総会なのか取締役会の決議なのかは、その会社が取締役会設置会社であるか否かでかわってきます。
取締役会設置会社ですと、取締役会議事録です。
取締役会設置会社でない会社ですと、株主総会議事録になります。
種類株を発行するときの注意点
普通株式の他に、種類株式を発行している会社は、種類株式毎に株主総会を開催して議事録を作成する必要があります。
単純に、議事録作成をする手間が増えていきます。
種類株は、エクイティで1億円以上資金調達する等の特殊な事情がない限り作らない方がいいとおもいます。
メザニンファイナンスの注意点
メザニンは、劣後特約付き社債か議決権無しの種類株で、お金の借り手と貸し手で交渉になります。
貸し手がリスクとリターンを釣り合わせるときに、議決権無し種類株を提案します。
議決権無し種類株は、配当でなく、売却益が狙えます(※利息よりも大きなリターンが狙える)。
種類株を発行したら、子会社の融資の度にメザニンファイナンサーから議事録をもらう必要がでてきます。
株主構成と親会社連帯保証
親会社と子会社で完全支配関係ですと、親会社は、金融機関から親会社連帯保証を確実に求められます。
完全支配関係とは、親会社が子会社の株を100%保有していることをいいます。
親会社が子会社株の51%超保有していると、金融機関から親会社連帯保証を求められると思ってもらって大丈夫です。
親会社が子会社株を30%前後しか保有していない場合は、親会社連帯保証は求められないです。
子会社が企業グループから外れる場合
親会社が資金繰りが詰まった場合などは、子会社という資産を現金化して資金難を乗り切ろうとします。
他にも事業とシナジー効果がみられない子会社は、販売してしまおうという親会社もあります。
このように子会社をグループから切り離すM&Aをするときは、子会社の融資に影響を及ぼす場合があります。
具体的には、金融機関の与信判断を親会社とセットでみていた場合です。
子会社がグループから切り離れる場合に融資の全額の繰上一括弁済を求めれる場合があります。
保証や担保があって融資が保全されている場合は、繰上弁済を求められることは少ないとおもいます。
M&Aをする場合は、事前に子会社に融資をしている金融機関にスタンスをヒアリングした方が無難です。
親会社の連帯保証が多い契約
子会社の事業で親会社の連帯保証が付されている契約は、下記のとおりです。
①金融機関との金銭消費貸借契約
②信用保証協会との保証契約
③リース会社とのリース契約
④不動産賃貸業者との不動産賃貸借契約
子会社が企業グループから外れる場合の連帯保証の外し方
子会社の融資についている親会社連帯保証の外し方は2パターンあります。
①債務をそのままで連帯保証の脱退
このやり方は、書類のやりとりだけでOKです。
子会社の返済能力が十分であったり、信用保証協会の保証がとれいる、融資残高が少ない場合がこちらの取り扱いになります。
最近の日本政策金融公庫の融資は、そもそも連帯保証人をとらない融資提案になっています。
②債務を繰上弁済して、新発融資の打ち直し
親会社の連帯保証は債務が消滅(完済)したら消滅するものです。
こちらのやり方は、肩代わり先の金融機関を見つけてくる必要がでてきますのでひと手間かかります。
親会社連帯保証は交渉で無しにもできる
親会社と子会社で代表者が異なる場合や人的な関係性が希薄な場合は、親会社連帯保証をしないと交渉することができます。
金融機関は、原則として親会社が支配している子会社について親会社連帯保証を求めてきます。
ですが、下記のような場合は、親会社保証なしで融資実行も可能となります。
①保証や担保がある
②子会社の業績がいい
③親会支社保証なしなら金利あげてもいい
こういうのは、事業者が金融機関に交渉しないとダメですので積極的に条件交渉した方がいいとおもいます。
子会社に対する信用保証料の請求
親会社は、子会社に対して、子会社の融資について連帯保証をするため信用保証料を求めることができます。
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