税理士塩見健二著
融資には、極度枠をあらかじめ設定して必要なときに借りたり、返済したりするサービスがあります。
この極度枠を設定する融資には、コミットメントライン型とアンコミットメントライン型があります。
アンコミットメントラインとは
アンコミットメントラインとは、当座貸越のことです。
アンコミットメントラインの使い方
プレーンな融資手法は、金融機関と事業者で長期の証書貸付契約をして毎月約定弁済をしていくものになります。
この手法ですと、常に金融機関からお金を借りているため、事業者は毎月固定的に利子を支払う必要がでてきます。
事業者の中には、使いたいとき(資金ニーズ)にだけお金を借りて、なるべく利子払いを圧縮したいと考える方もいます。
事業者の使いたいとき(資金ニーズ)は、下記のとおりです。
①季節資金
②突発的な売掛金や在庫
③本税の納税
④中間法人税の納税
⑤賞与
⑥採用教育
これらの資金ニーズは、短期的に手許資金が減少しますので短期融資で事足ります。
そこで事業者は、金融機関との取り決めをして3000万円、5000万円といった極度枠を設定します。
この極度枠の範囲で、上記のような資金ニーズに対応します。
着金までの期間は、金融機関であらかじめ与信審査がなされているため申し込みから着金まで2週間がイメージです。
上記のような短期の資金ニーズ以外の利用のされ方としては、工期の長い設備やレジ、オフィスなどの開発にも利用されます。
余談ですが、開発資金の融資の仕方は、極度枠を設定するのか、毎度手形をきるかは、融資する金融機関によって異なります。
アンコミットメントラインの注意点
金融機関としては、お金を借りてもらわないと利息売上が計上できないです。
そのため特段、資金使途を気にせずベッタリと極度枠ギリギリまでお金を借りてもらおうとします。
アンコミットメントラインで、ずっとお金を借り続けた場合は金融機関より一旦、お金を返済して欲しいと言われます。
イメージですが、数年借りっぱなしになると一度返済して欲しいといわれます。
過剰債務に苦しむ会社で極度枠を設定しているところは、どこも目一杯借りています。
極度枠の改定
極度額は、決算明けに改定がなされます。
特に担保がない場合は、業績連動で大幅に減額される場合があります。
不動産等の担保がある場合は、無担保よりも審査が緩いため大幅な極度枠の減額がないです。
不動産等の担保がない場合であっても信用保証協会の保証で極度枠を作ることも可能です。
この場合は、上記の担保がない場合と同じで極度枠が決算の度に改定がなされます。
コミットメントラインとの違い
コミットメントラインとアンコミットメントラインの違いは、2つあります。
①融資するか否かの判断
アンコミットメントラインは、融資を申し込まれた金融機関の融資を断ることができます。
ですので、急激に業績が悪化した場合等は、融資謝絶の可能性もでてきます。
コミットメントラインは、融資を申し込まれた金融機関に融資を断ることができないです。
②手数料
アンコミットメントラインの枠を設定しても手数料はかからないです。
ですが、コミットメントラインでは、枠に対して、いくらという手数料が発生してきます。
これは前述したとおり、融資を申し込まれた金融機関に融資を断ることができないことに由来しています。
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