日本政策金融公庫より、ウクライナ情勢や原油価格上昇等により影響を受けた事業者向けの融資商品が発売されました。
今回は、この融資の内容を説明します。
①融資商品の概要
この融資は、いわゆる日本政策金融公庫のセーフティネット貸付といわれるものです。
正式名称は、経営環境変化対応資金といいます。
過去の類似の商品としては、リーマンショック、東日本大震災、消費税増税、コロナウイルスのときに発売された融資商品になります。
この融資は、一般貸付と別枠扱いになっており、その融資上限額が4,800万円となっています。
融資の使い道は、運転資金、設備資金のどちらでもOKです。
運転資金は、赤字補填資金の意味が強いと考えられます。
設備資金は、新しい設備の導入で燃費のいい機械の導入なのでしょう。
返済期間は、長めになっており、かつ据置期間も付されています。
運転資金は8年で据置3年です。
設備資金は、15年で据置3年です。
②融資商品の適用要件の特徴
この融資商品の適用要件の特徴を下記となっています。
この融資が利用できる前提は、社会的な要因で一時的な赤字になっているけど、それまでずっと黒字であり、今後も黒字が見込める事業者であることです。
すなわち、一過性の赤字の説明が必要になります。
そして、決算数値の要件は6つに分類でき、いずれかに当てはまればOKです。
①売上高が前年等と比して5%以上減少していること。
単純に、売上が下がっているといった簡単な理由です。
②経常利益率が前年等と比して減少していること。
想定は、原油価格の高騰等により売上原価等が増加して経常利益率が悪化したことが想定できます。
③売掛金や在庫の資金回収サイクルが1月以上遅れていること。
販売先からの入金の遅れや石油製品の仕入れができなくなり生産ラインが稼働せず在庫がたまっていることが想定できます。
④赤字幅が減少傾向にあること。
前期に大きな赤字を計上した事業者が想定できます。
⑤利益剰余金等よりも繰越欠損金が大きくなっていること。
順調に利益を積み増していただけ一過性の大赤字を計上した事業者が想定できます。
⑥債務償還年数が15年を超えていること。
借金は多いが利益が小さくなった事業者が当てはまります。
債務償還年数が10年を超えると民間金融機関や保証協会も追加支援を躊躇するので、この要件はありがたいです。