MBO/LBOスキームを実行する場合の実務上の目線について説明します。
MBO/LBOスキームの工程表
今回は、親族や知人に株式が分散し、それを事業会社に買わせる手法を前提に説明します。
まず、最初にすべきことは株価算定と金融債権者へのスキームのご説明になります。
親族や知人が株式を販売してくれなかったら話が進まないです。
金融債権者の支援スタンスを聞いておかないと面倒なことになります。
ですので、株価を算定して、いくらぐらいで売ってくれそうという目線をつけます。
重要なのは、株価算定の基準日を決めておくことです。
決算日が多いです。
次に金融機関への株の買取資金の融資打診をしていきます。
以外ですが、日本政策金融公庫や商工中金といった政府系金融機関の職員の方は手馴れています。
民間金融機関は、やったことがないという職員がおおいです。
融資審査は2か月位で終わります。
ポイントは、LBO資金に3ヵ月位の元本据置期間をつけておくことです。
SPCは、売上がないため返済能力はないからです。
利息の支払いや株の決済の送金手数料をSPCの口座にいれておいた方がいいです。
審査の途中で株の買い上げるSPCを組成します。
SPCの組成と通帳作成で、おおよそ1ヵ月みておけば大丈夫です。
いざ、株の決済が終わりました。
次は、SPCと事業会社の合併です。
合併は、債権者保護手続きが1月必要になります。
債権者保護手続きは、官報への公告と金融債権者への個別催告になります。
債権者からの異議申し立てがなければ、合併登記になります。
だいたい、キックオフから合併まで6ヵ月位でおわります。
ファイナンス上の注意点
MBO/LBOスキームは、SPCと事業会社を合併させることによって株の買取資金を事業会社に返済させることになります。
そこで懸念されることは2つあります。
事業会社の借金弁済額が増大することにより資金繰りが悪化します。
そして、株の買取資金は、自己株式の取得と似た効果になりますので純資産価額が悪化します。
この純資産価額が債務超過になるようでしたら金融機関からの支援はないと思った方がいいです。
金融機関は、債務超過=返済に問題がある先と一義的にみてしまうものです。
会計上の注意点
なれていない会計事務所にありがちなミスがあります。
SPCは、基本的に債務超過になる可能性があります。
買収資金にかかる利子で赤字になるからです。
このとき赤字の会社を買収しているため、その他資本剰余金が▲になっていることがあります。
資本剰余金は▲になっていたら利益剰余金を振り返えして資本剰余金を0にする必要があります。