債権回収会社(以下、サービサーという)に債権を譲渡することによって、損失を確定させ、納税を圧縮し、納税による手許資金の流出を抑制する実務を説明します。
サービサーを利用する意義
物の売り買いやサービスの提供といった行為により買主と売主に債権債務関係が生じます。
この債権は、債権者は誰に販売しても大丈夫なことになっています。
ですが、当初の債権者が債権を第三者が販売して、その第三者が債権回収をする場合は、非弁行為になってしまい弁護士法に抵触することになります。
例外として、サービサーは、弁護士法に抵触せずに債権回収ができることになっております。
サービサーが買い取れる債権
サービサーが買い取れる債権は、一般的な債権で言いますと売掛債権、貸金債権、損害賠償請求権、敷金返還請求権、求償権といったものです。
売掛債権、貸金債権はわかりやすい債権ですので、それ以外の債権について説明します。
損害賠償請求権のイメージは、横領等が発生して横領犯にお金を返して。といった債権です。
敷金返還請求権のイメージは、店舗やビルを借りていた賃借人が大家さんに預ける敷金で、大家さんに金がなく返金してくれない債権です。
求償権のイメージは、保証協会付き銀行融資です。銀行融資にデフォルトが生じたことにより銀行が保証協会に債務者の代わりにお金を支払ってといいます。
それで債権者が銀行から保証協会に移ります。この移った債権が求償権という名前になります。
債権回収が見込めない、いわゆるポンカス債権の買取りは、1債権1,000円が多いです。
サービサーが買い取れない債権
サービサーが買い取れない債権は、一般的に債務者が反社会的勢力である債権、債権として確定していない債権、粉飾決算により生じた売掛金等です。
債務者が反社会的勢力である債権は、当初の債権者が反社会的勢力に利益供与をしたことになるので買い取れないです。
債権として確定していない債権は、飲食店でスタッフにお金を盗まれたと思われるが、スタッフが盗んだと認めていないようなケースです。
粉飾決算により生じた売掛金等は、そもそも債務者がいないので債権譲渡ができないです。
債権譲渡と税務調査
債権を譲渡することにより、債権譲渡損が発生します。
税務調査時は、この債権譲渡損について下記の角度で調査がなされます。
①債権の種類は何なのか。
これは債権が役員貸付の場合だと認定賞与になるか検討していきます。
②そもそも債権が存在していたのか。
仮装経理に基づく損失の税務上の取り扱いは、特殊です。
この規定を適用できないかを検討していきます。
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