税理士塩見健二著
不動産の同順位担保ローンの融資実務を説明します。
このテーマは、プロジェクト、収益、自社利用目的でも同じ考え方となります。
同順位担保ローンとは
不動産への抵当権の設定は、その設定が早い順に一番抵当、二番抵当となっていきます。
債権回収の順位は、一番抵当が先に債権回収を図り、その後に二番抵当といった後順位抵当権が債権回収となっていきます。
融資の世界では、一番抵当がついてあるローンをシニアローン、二番抵当以降の抵当がついたローンをジュニアローンともいいます。
そこで同順位抵当権とは、複数の抵当権者が同時に抵当権を設定してもらうことをいいます。
ですので、一番抵当権に、甲銀行、乙銀行といった感じになります。
同順位担保ローンを使うとき
同順位担保ローンを使うときは、大きくわけて借手都合と貸手都合にわけます。
借り手都合というのは、下記のようなときが考えられます。
店舗兼住居といった一棟不動産
実例でいいますと、日本政策金融公庫中小事業部は融資対象がレジ以外となっております。
この金融機関は、長期ローンを固定低利での融資となります。
ですので、是非とも使いたいところです。
レジ部分を、民間金融機関や日本政策金融公庫の国民生活の融資を利用します。
融資額や抵当権の設定額は面積按分で検討がすすめられていきます。
トータルの金利を低くして少しでもNCFをよくしたい
民間金融機関の金利よりも日本政策金融公庫の金利の方がはるかに低いです。
ですので、民間と日本政策金融公庫との協調融資でトータルの金利を低くする方法です。
貸し手都合というのは、下記のようなときが考えられます。
不動産の開発や大型プロジェクトをするときに一行単独で融資ができないときです。
10億円前後の不動産を開発するときからレンダーによっては複数行による協調融資が検討されていきます。
実務をみていますとメガバンク3行で同額にて協調融資するといった感じです。
日本政策金融公庫による同順位担保融資の特徴
日本政策金融公庫は、国民生活と中小企業とわかれています。
このときに国民生活と中小企業で同順位担保ローンを使うときの注意点を説明します。
この2つの組織は、同じ日本政策金融公庫ですが融資審査上は、別々とみます。
そのため、担保評価の掛け目が厳しくなります。
中小公庫を利用するとき
中小公庫は、レジ以外の不動産に対して固定金利、長期融資サービスを提案してくれます。
ただ、中小公庫は、融資実行時の条件に民間との協調融資を条件にする場合があります。
同順位担保ローンのメリットおよびデメリット
メリット
トータルでの金利負担が低くなること
取り扱うことができる融資ロットが大きくなるので大きな不動産担保ローンが敷けること
デメリット
担保の掛目がきつくなり融資額が少なくなります。
これは、各レンダーで他のレンダーの担保評価を過大にみてしまうからです。
具体的にいいますと、融資額の120%です。
この120%というのは、債権がデフォルトしたときの2年間分の金利等が考慮されるためです。
他には、融資実行まで一行単独よりも時間を必要とします。
最後は、同順位で取り扱いができる金融機関とできない金融機関が存在してきます。
できるだけ同順位担保ローンでなく一行単独で丸抱えしてくれるレンダーと融資取引をした方がいいです。
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