概要
事業承継には、不動産賃貸業にもあります。
高齢になった大家さんから不動産を買い取って新しいオーナーが不動産賃貸業を承継するといった感じです。
税理士の目線は、事業承継時の不動産取引を、会社ごと買う不動産M&Aにするか、それとも会社の中身である不動産だけで取引するかを税負担のシュミレーションをします。
ですが、そもそも事業承継案件の不動産は築古の税務上の耐用年数越え案件が多く返済期間が非常に短くなります。
返済期間が短いと自己資金を多額に投下するか、むちゃな返済計画となっていきます。
そこでいかに融資期間を延ばし、難解な築古不動産の取引を成立させるファイナンススキームを説明します。
耐用年数越えの不動産の融資期間の目線
駅近等の人気エリアの不動産は、税務上の耐用年数を超えている物件が多くなってきました。
融資期間の目線は、各金融機関によってかわってきます。
基本的な目線でいいますと、メガバンクや地方銀行は、税務上の耐用年数が上限といえます。
耐用年数越えの不動産には融資をしないです。
信用金庫、信用組合、日本政策金融公庫は、耐用年数越えの不動産でも上限10年で融資実行の土台にのります。
ですので、耐用年数越えの不動産は、10年の返済ピッチでも金が回り続ける収支予測をたてて自己資金の負担を考えないといけないといえます。
そうなりますと、おのずと表面利回りが10%以上でないと取引ができないといった状況になっていきます。
日本政策金融公庫の事業承継・集約・活性化支援資金の活用検討
この融資制度は、事業承継に伴う資金使途で利用が可能となります。
その前提は、高齢となった大家さんから会社ごと買う場合も不動産だけを買う場合も要件にあてはまってきます。
この融資制度の特徴は、融資期間が最大20年までとれるということです。
築古物件で20年の返済期間ですと表面利回りが10%を超えている不動産ですと、少ない自己資金でも返済比率を低く抑えることが可能となってきます。
ここで注意をしないといけないのは、2点あります。
1つ目は、いくら制度上返済期間が20年だからといって、その不動産の経済的耐用年数や現況の修繕状況に返済期間がきまっていくことです。
ですので、返済期間が20年とならず15年になったりもします。
2つ目は、担保割れです。
築古物件は、建物の固定資産評価額が多少のこっていたとしても税務上の耐用年数越えの時点で0円評価となってしまいます。
ですので、担保評価は土地部分だけとなります。
土地の担保評価の目線は、実勢価格でなく積算評価÷0.7を目線にしてもらったら大丈夫です。
その結果、取引価額と土地の担保評価の差額が担保割れ、すなわちオーバーローンになってしまいます。
オーバーローンをどこまでみるかは、その債務者の属性や財務状態によってかわります。