資本政策における注意点を説明します。
金融面
金融面で注意しないといけないのは、信用金庫と信用組合の組合員の資格要件を増資によってみたさなくなる可能性があることです。
組合員の基本的な要件は、資本金(資本金+資本準備金)3億円以下であること、または従業員数300人以下です。ただし、これは業種によってかわってきます。
信用金の基本的な要件は、資本金(資本金+資本準備金)9億円以下であること、または従業員数300人以下です。ただし、これは業種によってかわってきます。
詳細は、一般社団法人全国信用金庫協会のホームページに記載されています。
税法面
資本金が1億円を超えますと法人税法上の大法人として取り扱われます。
ですので、下記のような法人税法上の優遇規定がうけれなくなります。
イ 少額減価償却資産の損金算入規定。この規定がうけれないので1個10万円以上の資産は全て資産計上となります。
ロ 課税所得800万円までの軽減税率。
ハ 留保金課税制度の適用。同族会社に該当する場合に適用されます。
二 交際費の全額損金不算入。交際費は、全額自己否認となるということです。
ホ 欠損金の繰り戻し還付。
ヘ 貸倒引当金繰入の損金算入。金額が小さいのでマイナースルーです。
あと、資本金が1億円を超えますと事業税の外形標準課税が適用されます。
ここにいう資本金は、資本金のみです。資本準備金は含まないです。
詳細は、東京都の都税事務所のホームページに記載があります。
最後は、税務調査です。
資本金が1億円を超える場合は、税務署でなく国税局が担当することになります。
会社法面
会社法においては、資本金5億円以上または負債200億円以上の会社において公認会計士による監査を求めています。
ですので、監査外しのため資本金4億9800万円といった感じにしている会社もあります。
業法面
業法における許認可の取得に最低資本金の縛りがあります。
具体的には、特定建設業2000万円、貸金業5000万円などです。
このように最低資本金の縛りはありますが、資本金上限の縛りは調べた範囲でなかったです。
財務面
ファンド等から出資をうける場合は、対象会社にデューデリジェンスが入ります。
費用負担は、レンダーなのかボロワーなのかは要相談といったところです。
出資者へのプレゼンや資料提出も多いため時間がとられる傾向にあります。
既存株主
上場を目指す場合等で、どうしても銀行融資がつかないビジネスモデルや多額の研究費や設備投資がいる場合はファンドの資金を活用します。
このように既存に第三者の株主がいる場合は、新規の株主募集をするときにお伺いをたてる必要がでてきます。