事業再生局面にある事業者の最後の資金調達手段を説明します。
これは同族会社の同族が保有する事業会社の株式を担保として資金調達する方法です。
検討できる会社
事業再生局面にある会社は、さまざまなパターンがあります。
本業一本しか事業をしておらず、その事業が赤字である場合や複数の事業を展開してその一事業が足を引っ張ている等です。
株式を担保として資金調達する会社は、複数の事業を展開していて黒字事業がある会社が検討されます。
グッドバッドスキームが適用できるような会社です。
グッドバッドスキームと株式の担保スキームの使い分けの判断は次のとおりです。
グッドバッドスキームは、会社を黒字事業と赤字事業に切り離しをしたあとに赤字事業を破産させます。会社を破産させるので、ついでに社長も自己破産します。
これが嫌な場合は、株式の担保による資金調達を検討します。
株式を担保とし融資するレンダーの思考としては、融資先がデフォルトした場合でも株主として会社を黒字事業と赤字事業に会社分割をし、その後、黒字事業を売却して資金回収を図るという考えです。
なので融資額は、黒字事業を売却したときのMA代金に掛け目をいれた額です。
担保を取得する場合の法形式
株式を担保として活用する場合の法形式は、質権設定と譲渡担保の2種類があります。
それぞれの法形式の特徴をみます。
株式に対する質権設定の場合は、株主はあくまで債務者です。
債権回収には民事執行法が適用されます。
株主名簿には質権設定者である債権者の名前がのります。金融機関が法人税申告書の別表2をみたらオーナーがかわっているとバレます。
譲渡担保の場合は、株式を債務者と債権者の間で売買します。
ですので株主は債権者となります。
債権回収は債務者と債権者の合意内容で進めれます。
債権者にとって有利な法形式は、質権と譲渡担保だと譲渡担保となります。
債権者は、譲渡担保で株式を担保にとりたいと提案します。
融資を検討してくれるレンダー
銀行は、事業再生中の会社の株式を担保とした融資はしてくれないです。
銀行の融資は、確実に完済してくれる融資先に対して低利で融資することが仕事だからです。
事業再生局面でのファイナンスの可否判断は、場慣れした一部の人にしか取り扱いができないものです。
こういう案件は、それ専門でしている会社があります。
事業再生ファンドとかがそれにあたります。
金利10%位でみてもらえれば大丈夫です。