税理士塩見健二著
決算月とは
決算月(英語:account closing month)とは、企業の事業年度の最終月のことをいいます。
決算月の翌月から決算月までの期間を会計期間や事業年度といいます。
会社法に基づく会計期間は、18ヵ月までの事業年度が認められています(会社会社計算規則59①二)。
法人税法に基づく事業年度(上記の会計期間と似ている)は、12ヵ月までと規定しています(法人税法13)。
実務では、法人税申告書を作成するために12月毎に決算を区切っています。
決算として多い月
決算月は、下記の順位になっております。
3月→9月→12月→6月→8月→5月→7月→4月→2月→10月→11月→1月
3月や9月を決算月としている会社が多い理由としては、下記があげられます。
①なんとなく
②会社を設立したときに、なるべく決算月を後回しにしたい
③税制改正のタイミングだから
税制改正の施工は、4月1日や10月1日になります。
④個人事業主と会社経営をされている方は、12月決算が多いイメージです。
決算月の変更パターン(どうやって決める?)
赤字決算回避
決算月を変更する理由として圧倒的に多いのは、赤字決算回避です。
今なら、保険を解約したりして黒字着地できます。という状態のときに決算月を変更します。
金融機関に決算書を提出すると、担当者から「なぜ決算月を変更したのですか?」とヒアリングされます。
赤字着地になりそう、と解答しても、やっぱりですか、と返答があってお仕舞です。
消費税の納税対策
消費税の納税額は、運営月が増えれば増えるほど増加するものです。
消費税を分納すると、分納期間中は金融機関の融資審査は通らないです。
ですので、決算月を変更して事業年度を短くし、消費税を納税し、金融機関からの融資支援をうけます。
日本政策金融公庫は、消費税が分納状態であっても融資審査をしてくれます。
節税対策
融資をうける必要もない、設備投資をするつもりもない、安定的に利益がでている、という会社は、節税に熱心になります。
このような会社は、繁忙月で一番利益がでる月を期首にします。
それで決算に向けて節税対策をじっくり検討します。
相続対策
相続対策に突入する会社は、決算月を6月にします。
これは、個人の税金計算期間が12月で強制的にきられます。
ですので、6月と12月の半年ごとに相続対策の推移をチェックします。
資金繰りと真水融資
いい条件で融資をうけたい会社は、5月と11月を決算月にします。
これは、金融機関の決算月である3月および中間決算月である9月に融資を着金するものです。
金融機関は、3月と9月の融資審査が他の月と比べて緩くなります。
5月決算ですと、7月申告、8月融資審査、9月着金というスケジュールです。
11月決算ですと、1月申告、2月融資審査、3月着金というスケジュールです。
税理士からの打診
上記のように人気決算月は、3月、9月、12月になります。
税理士事務所の生産能力にも限界があります。
そこで税理士事務所の閑散期である2月、4月、8月への決算変更を打診されます。
打診を受け入れて決算報酬の値下げ交渉もありだとおもいます。
決算月の変更方法
決算月の変更は、簡単です。
株主総会の議事録を作成します。
株主総会の議事録は、種類株が発行されている場合は、株ごとに株主総会が必要になります。
税務署、県税事務所、市役所などに異動届と上記の議事録を送付してお仕舞です。
登記変更は必要なです。
決算月は、いつがいい
1期目の考え方
事業開始日は、1日以外がオススメです。
理由は、住民税の均等割が1月分節税できるからです。
消費税の節税
2023.10.1~インボイス制度がはじまるため消費税の免税期間を考慮する必要はなくなりました。
子会社の決算月
子会社を設立するときの決算月は、親会社と同じをオススメします。
その理由は、利益や損失のキャッチボールを金融機関や税務署に疑われないためです。
決算月と棚卸作業
棚卸作業は人件費削減のため決算月だけでも問題ないか、という質問があります。
決算月だけでも問題はないです。
ですが、在庫の盗難リスクがあります。
そのリスクを許容できるか、否かで棚卸作業を決算月だけにするか、否かを検討したらいいとおもいます。
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