誰が保有するかによる課税関係と金融機関による分類
誰が保有するかは4パターン考えられます。
個人、日本法人、海外法人、海外法人の日本支店となります。
融資の視点では、下記となります。
個人は、国内金融機関、国外金融機関の両方ともOK(※海外で居住権があるなどに限る。)です。
日本法人は、国内金融機関のみ対応可能です。
海外法人は、国外金融機関のみ対応可能です。
海外法人の日本支店は、国外金融機関のみ(※海外法人の日本支店には、国内金融機関が融資することは困難)です。
納税の視点では、下記となります。
個人は、2020年の租税特別措置等の改正によって「国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例」により減価償却を用いた所得圧縮ができなくなりました。
日本法人は、個人と異なり海外不動産に関する減価償却費等の改正がなされていないです。
ですので、海外不動産は耐用年数越えの木造を4年で償却することも可能となっています。
海外法人は、その海外の現地の法人税のルールによって納税することになります。
海外不動産に対する民間金融機関の融資審査
日本国内の民間金融機関で融資審査に土台にのるのは、東京スター銀行、SBJ銀行、オリックス銀行等となっています。
民間金融機関の融資審査の仕方は、主に3つあります。
一つ目は、国内にある不動産に抵当権を設定するやり方です。
このときは、抵当不動産は、二番抵当でなく、一番抵当となっているところが多いです。
ですので、すでに一番抵当がある不動産の場合は、その一番抵当権のついている金融機関へ一括弁済して抵当権を抹消して、新たに一番抵当権の設定が必要になります。
すなわち、海外不動産の担保力をみないやり方になります。
二つ目は、海外の一部地域に限定されますが、その海外不動産を担保としてみる融資があります。
このときの注意点は、担保の掛け目が非常に大きい点です。
自己資金の負担は、50%ぐらいと想定された方がいいです。
三つ目は、いわゆる資金使途フリーのフリーローンという商品です。
フリーローンは、債務者の返済能力だけで与信判断をします。
ですので、担保の提供等は不要です。
ですが、金利が高利になる傾向があります。
海外不動産に対する公的金融機関の融資審査
日本政策金融公庫については、2種類の融資商品が用意されています。
一つ目は、通常のプレーンな設備投資資金です。
不動産の担保力をみずに、会社や個人の返済能力に対して融資します。
返済期間は10年が最長です。
ですので、相当利回りがいいか、相当の自己資金をいれないといけないです。
二つ目は、海外展開・事業再編資金です。
これは国民生活も中小企業も両方に用意されています。
担保の提供は、要相談となっています。
日本政策金融公庫は、民間よりも低金利であり、かつ長期返済ですので是非活用すべき商品です。
不動産投資は、借金返済中ですと、ほぼ手残りがないです。
金融機関へ支払う金利はバカにならないです。
金利は安ければ安い方がいいです。
これで日本国内の金融機関の説明は終わりました。
海外の現地金融機関からの資金調達
海外の現地金融機関からの資金調達のメリット、デメリットは下記のとおりです。
メリットは、為替の影響をうけないです。
日本国内の金融機関は、円建てでの融資になります。
ですので、どうしても為替の変動リスクがおってしまいます。
デメリットは、海外の現地金融機関は利率が日本の金融機関より高利になります。
ですので、投資の採算がとれない可能性があります。
最大のデメリットは、海外の現地金融機関ですと融資審査が非常に厳しくなります。
海外不動産を所有する場合の与信審査のマイナスポイント
海外不動産を融資を受けて購入した場合や自己資金(フルエクイティ)で購入した場合の今後の融資審査のマイナスポイントは下記のとおりです。
金融機関は、自行のテリトリーにある不動産しか担保評価としてみないですし、負債については満額負債として認識します。
ですので、海外不動産を保有することによって金融機関の与信判断で大幅な債務超過と判断することになります。
そうなりますと、今後の融資審査が厳しくなるため融資提案において希望の融資額に達しない、金利が上昇しているといったことが考えられます。