税理士塩見健二著
売上除外に関する税務調査
税務調査においては、売上除外(売上の計上漏れ)がないかチェックがなされます。
売上除外の調査の仕方は、下記のとおりです。
①法人の売上が帳簿にない口座に入金されている
②名義の違う口座に入金がされている
③売上の計上時期(期ズレ)が違う
今日は、上記のうちで、名義の違う口座に入金がなされている場合の税務調査の処理を説明します。
法人の売上が、社長個人の口座に入金があった場合の税務調査官の対応は、大きくわけて3つになります。
うっかりミス
一つ目は、うっかりミスだったとして売上代金を社長への貸付として指摘される場合です。
この場合は、過少申告加算税と認定利息でおしまいです。
税務調査官が丁寧に法人と社長の金銭消費貸借契約書のフォーマットをFAXしてくれます。
社長の過失で売上計上漏れ
二つ目は、税務調査官に法人の売上を、社長の過失で社長個人の通帳に入金したと指摘される場合です。
口座の入出金の動きは、下記のとおりです。
①法人の売上が社長の個人口座に入金
②そのまま社長が引き出されており、かつ、法人への入金も確認されないケース
この場合は、売上代金は社長への貸付でなく、役員賞与となります。
役員賞与となった場合は、ややこしいです。
法人は、役員賞与を損金として処理できないです。
さらに、役員賞与に係る源泉所得税漏れです。
社長個人は、給与所得漏れになります。
故意に売上を計上しなかった場合
三つ目は、二つ目のオプションで重加算税が課されるです。
法人の重加算税の取り扱いは、こちらです。
この場合は、役員賞与の認定以外に重加算税という悪質納税者へのペナルティが課せられます。
重加算税の認定基準は、税務調査官が、うっかりミスでなく、わざとやったと立証する必要があります。
税務調査官による故意なのか、うっかりなのか、の判断は下記のとおりです。
税務調査官の質問に対しての社長の解答や通帳の入出金の動きで判断になります。
税務調査官の質問の解答で注意したいのは、社長が覚えていない内容に対する質問です。
当然に社長が覚えていないのだから、「わからない、覚えていない、あとで調べて解答する、」と回答すべきです。
税務調査官に揚げ足を取られる可能性があります。
税務調査官は、なるべく重加算税が欲しいので「故意だ!」と主張します。
税務調査に立ち会う税理士は、「過失だ。」と主張します。
納税者が重加算税を認めてしまうと、税務署において法人単位で履歴が残ってしまいます。
そうなりますと、3年、5年に1度と定期的に税務調査が行われます。
銀行口座の調査
税務調査において税務当局は、金融機関に預金口座の開示を求めることができます。
ですので、法人の口座以外に社長やその親族の口座もチェックされいます。
税務調査時においても、個人や関係会社の通帳の開示を求められます。
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