税理士塩見健二著
コロナウイルスによって売上が激減して手許資金が薄くなったためにリスケジュールされた会社さんが増えています。
そこで今日は、リスケ突入から脱出までの一連の流れを説明します。
リスケまでにするべきこと
リスケジュールに突入するときは、下記のことが大切になります。
余裕をもった手許現金
ある程度の手許現金をもった状態で返済をストップすることです。
リスケに突入した場合は、原則として真水の運転資金融資がないです。
ですので、ギリギリまで返済を続けた場合は、少ない手許資金で事業をすることになります。
できれば、月商1ヵ月ほどの手許資金を残しておきたいところです。
黒字状態
リスケジュール突入時までに黒字状態にしておかないとジリ貧でそのまま資金ショートしてしまいます。
融資口数を一本化
リスケすると融資事務手数料が発生します。
これはリスケ時、内入弁済時、ロール時に発生します。
融資口が多いほど手数料が多くなります。
ですので、リスケ前に複数の融資口を一本化することをオススメします。
一本化できる融資口の例
同じ責任共有割合の信用保証協会付き融資
一本化できない融資口の例
全ての融資口が借り換えで一本化できるわけでないです。
下記のような融資口は、一本化できないです。
①市区町村の制度融資
②オリックス、オリコといった民間企業が保証をしている融資
③異なる責任共有割合の信用保証協会付き融資
融資残高の少ない金融機関の融資は完済する
リスケに突入した後は、各金融機関とリスケの交渉をする必要があります。
リスケに突入したら債権者平等の原則により、内入弁済された資金は融資口の残高に応じて弁済がなされていきます。
ですので、融資残高の少ない金融機関の融資は完済しておいた方が後々の業務量を圧縮することができます。
リスケ交渉
必要書類
リスケ突入時には、金融機関から下記の資料の提出を求められます。
①事業計画書
②資金繰り表
③試算表
④借入残高一覧表
⑤部門別PL
リスケ交渉
リスケ交渉は、信用保証協会と日本政策金融公庫だけだと楽です。
ポイントは、内入弁済を0円にすることです。
内入弁済額を大きくしてしまうとジリ貧で資金ショートしてしまうからです。
リスケの更新
リスケは通常1年間の返済猶予が多いです。
1年後に、ほとんどの事業者は事業計画通りに事業が回復していないです。
ですので、10万円といった少額を内入れ弁済して再度1年間のリスケを更新していきます。
リスケの拒否
リスケは、金融支援の一つです。
融資契約は、当初に約定した条件で返済がされるものです。
リスケが拒否された場合は、返済が止まりませんので返済遅延という状態になってしまいます。
再生支援協議会
リスケを拒否される等の事態に陥ったときは、再生支援協議会に相談してもいいとおもいます。
リスケの種類
リスケの種類は大きく分けて2パターンあります。
これは今後の事業計画によって、どの方法にするか決められていきます。
テールヘビー
これは概ね6ヶ月ほどの元本返済を0円にして、その返済が進んでいない元本を返済最終回に一括弁済する方法です。
計画通りに利益がでなかった場合は、この元本据置きが延長されます。このときに手許資金で内入れ弁済します。
期間延長
これは当初の返済期間は3年だったものを5年に条件変更することによって月々の返済額を少なくする方法です。
中小企業の場合は、ほぼテールヘビーが適用されます。
リスケ中の真水資金の可能性
リスケ中は、原則として金融機関からの真水融資をうけることはできません。
ですが、例外があります。
追加担保の提供
コーポレートの与信を全く無視して、提供された不動産や有価証券といった担保に与信をはるやり方です。
信用金庫や信用組合さんは、前向きに検討してくれます。
不動産担保ローン専門のノンバンクも前向きに検討してくれます。
担保余力がまだある
土地の価格上昇等により担保余力が増加することがあります。
このような場合ですと、追加融資は期待できます。
超短期融資
月末に資金ショートするけど、翌月10日に入金があるような場合は短期のつなぎ資金を検討してくれます。
このような金融サービスは、信用金庫や信用組合が積極的にしてくれるようです。
リスケからの脱出方法
リスケからの脱出方法は、リスケ債を正常債に借り換えることによって行います。
正常債への借り換えによってリスケ債を完済します。
ここで重要なのは、租税や社会保険料の滞納がないことです。
これらの滞納がある限りは、正常債への借り換えができないです。
このことは事業者さんは、知らない方が多いです。
では、この借換えまでのプロセスはどうなっているのでしょうか。
いきなり正常債に借換えということはないです。
保証協会付き融資もプロパー融資も毎月の少額の元本返済をします。
概ね6月位の返済実績ができたときに、リスケ債を正常債に借り換えるかどうかになります。
保証協会も金融機関も一度返済を進めて再度リスケされるのが一番いやとのことです。
代位弁済
信用保証協会付きの銀行融資は、あまりにも元本の返済がないと保証協会に代位弁済を求めることができます。
そうなりますと、債権者は銀行から信用保証協会になります。
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