税理士塩見健二著
重要事項説明書とは
重要事項説明書は、その不動産の商品説明といった書類です。
そのため、その不動産への融資付けに必要なヒントがたくさん記載されています。
区分マンションは簡単ですが、一棟物、戸建はみるところが多いので大変です。
金融機関の重要事項説明の見方
重要事項説明書の視点から融資に関するレンダー候補の目線付けを説明します。
FRK
表紙の重要事項説明書とタイトルが記載されているページです。
右側にFRKの文字が入っていると細かい仕様の契約書だとわかります。
大手の不動産業者が仲介に入る場合はこの書式が利用されています。
不動産の表示
土地
土地で重要なのは、測量図面です。
測量図、確定測量図にチェックが入っていたら金融機関に資料を求められます。
金融機関が何も言わない場合は、資料徴求を知らない可能性があります。
土地の測量は、不動産の担保評価の増減に直結します。
民民測量は、隣地所有者と確認するだけのため、そこまで時間を必要としないです。
隣地所有者と地積で係争する場合は、弁護士に丸投げになります。
官民測量は時間がかかります。
行政に申し込んでから2~3ヵ月後に測量になります。
建物
不動産の表示の建物のところに・余白と記載されず文字がたくさん書いてあるとバッチリ違法物件の可能性大です。
この時点でノンバンクからの資金調達がほぼ確定します。
是正工事をして尊法性を確保、解体土地売り、解体開発再販売のプロジェクトは違反物件でも問題になりずらいです。
専有者
占有に関する事項 第三者による占有で有か無かで話がかわります。
占有者有りの場合
占有者有りのプロジェクトは、立退きさせて実需で再販売する、オーナーチェンジ、立退後に解体が多いです。
立退き費用が、自己資金なのか、銀行負担なのかは、担保価値と債務者の財務内容によります。
財務内容がいい債務者は立退き費用も金融機関が負担してくれます。
立退きが関わるプロジェクトをそもそも融資しないという金融機関は、あります。
オーナーチェンジのプロジェクトは、初回取引からだと敬遠される金融機関があります。
オーナーチェンジは、そもそも不動産に加工を加えてバリューアップしないため投機と判断されてNGの金融機関もあります。
占有者無しの場合
占有者無しの場合は、リフォーム再販売、解体土地売り、入居者を付けて利回り商品可といったプロジェクトが多いです。
特段、融資付けで問題になるプロジェクトは少ないです。
私道
私道(位置指定道路)が含まれている場合は、水道管、ガス管の埋設資料を求められる可能性があります。
これらの配管が第三者の土地に埋設されていないかチェックしたいためです。
区域区分
区域区分は、都市計画区域の市街化区域以外だとノンバンクが資金付けに難色をしめす可能性ありです。
そんな田舎を買って売れるの?とみてしまいます。そもそも担保評価が伸びないです。
建築基準法に基づく制限
用途地域
用途地域は、その指定されたエリアで営むことができる事業に縛りを設けています。
不動産に問題はなくても入居するテナントに問題がある場合があります。
余白
建築基準法に基づく制限で余白部分に文字が書かれていると必ず読みます。
違反物件の場合は、バッチリ違反物件である旨が記載されています。
敷地等と道路との関係
敷地等と道路の関係はセットバックが記載されていると担保評価減になります。
セットバックは、隣地を買い占めたらセットバック無しになる可能性もあります。
建築確認・検査済証の交付
建築確認、検査済証が発行されているかを確認します。
建築確認すらとっていない不動産は、銀行からの融資をあきらめます。
検査済証はなくても台帳記載事項証明書で代用できます。
平成10年位までに建築された不動産は、検査済証をとっていないものがほとんどです。
造成宅地防災区域内か否か
いわゆる、がけ地が近くにある場合やがけ地である場合は、ここにチェックが入ります。
積算評価が伸びて、かつ、表面利回りがいいのでお買い得な不動産のようにみえます。
ただ、がけ地は担保評価で大幅な評価減がなされます。
そのため融資が伸びないです。
石綿(アスベスト)使用調査の内容
古い建物の場合は、建材にアスベストが塗布されていることがあります。
アスベストが利用されている建物を解体するときは、解体コストが高くつくことが考えられます。
解体費用は、自己負担なのか、銀行負担なのか確認が必要です。
耐震診断の内容
旧耐震の建物の場合は、銀行が融資NGの場合が多いです。
旧耐震の建物における資金調達先の目線は下記のようになります。
手付金
手付金が売買価格に対してあまりにも少ない場合は、ブレイクする可能性を疑われます。
手付金は、自己資金という金融機関が多いです。
備考
備考欄には、水没状況、違反状況、権利関係の不具合について書かれていることがおおいです。
重要事項説明の不要な取引
重要事項説明がいらない不動産取引は、下記のとおりです。
このような場合は、銀行が融資に難色をしめす場合があります。
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