税理士塩見健二著
売買される不動産に未登記の建物がある場合について説明します。
未登記の例
はじめに、どんな建物に登記が必要なのか不要なのかが問題になります。
チェック項目としては、その建物が不動産に該当するのか、従物に該当するのかです。
不動産に該当するのかは、納屋、倉庫といった建物が土地に定着していれば登記すべき建物に該当します。
トレーラーハウスやプレハブ小屋は土地に定着していないので建物として登記は不要と考えられます。
従物に該当するかは、古民家等は、母屋の外にトイレがあったりします。
これは主たる建物の従物とみられる可能性があります。
ですが、納屋、倉庫、寄宿舎といったような明らかに別な建物の場合は登記が必要と考えられます。
固定資産税の取り扱い
固定資産税は、建物が未登記であっても勝手に課税されるので問題はないです。
容積率オーバー
未登記の建物がある場合は、容積率オーバーになっている可能性があります。
この場合の資金調達の目線は、下記のようになります。
銀行、信用金庫からの資金調達は、建物を是正し尊法性を確保して再販売するといった事業計画が絶対になります。
ノンバンクは、最近はやりの融資型クラウドファンディングも含まれます。
銀行の融資審査の取り扱い
主に3つの観点で未登記の建物がある場合は融資審査に影響がおよびます。
フィールド調査
不動産のフィールド調査時において未登記の建物の存在をチェックされます。
未登記の建物は、不動産の奥の方にあるものです。
未登記の建物があれば、そこに占有者がいないかもチェックします。
担保評価減
未登記の建物がある場合は、担保評価額にマイナスの影響がおよびます。
土地への抵当権設定の効力は、未登記の建物に及ばないです。
抵当権の効力を及ばすには、登記が必要となります。
未登記の建物がある場合は、その建物の敷地部分の土地を更地で評価をして、法定地上権相当額の評価減をします。
担保評価の減額ですので、おのずと融資額も伸び悩むという事態が生じます。
表題登記
融資実行の条件に増築している旨の登記をもとめられます。
これは増築部分も登記しないと融資の抵当権の効力が及ばないからです。
他方、未登記物件は、第三者が勝手に登記をいれて所有権を主張することも可能です。
未登記建物の所有権移転
所有権移転方法
未登記の建物の所有権移転、相続登記は、法務局での登記が原則となります。
登記をおこなっていない場合は、各市区町村の役場へ一定の書類を提出することにより手続きができます。
費用
未登記の建物を登記する場合は、土地家屋調査士および司法書士に依頼をすることになります。
相場としては、10万円~20万円となっています。
建物が大きい場合は、これよりも大きな費用がかかってきます。
融資審査のポイント
未登記の建物の処分方法を融資審査時に説明する必要があります。
処分方法の代表的な手法は下記のとおりです。
①未登記建物を解体します。
②未登記建物を登記します。
③登記不要なプレハブ等は、撤去します。
銀行は、融資実行時に違反建築物だと融資審査が困難になります。
オススメは、信用組合になります。
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